検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:2,246 hit

0日目37 ページ38

──時は遡り数十分前のこと。
 まず医務室に山形が運ばれたという報せを受けた烏野の面々が、担当の探索場所はもう終わっていたこともあり、建物内を探索しに散らばった各校の参加者たちに会議の場を食堂に移すことも共に告げて回った。その流れで探索を終えた高校が次々と食堂に集まる。元々探索場所も多くアクシデントも発生した白鳥沢が最後にやって来たのだが、彼らは報告結果をまとめた冊子を別の者達に託して医務室に向かった。結果食堂に集まったのは5校45名の参加者たち。ここでの規則とペナルティについて耳に入れたばかりの彼らは不安に表情を曇らせながらも、ホワイトボードの前に立つ各校の主将(白鳥沢除く)を軸に報告を始めた。
「えー、それでは皆さんお集まりということで、早速一番大事なとこ聞いときましょうか」
 まるで最初に法廷に集まったときと同じように妙に離れした黒尾が口火を切る。その胡散臭さは参加者であると判明している今もなお健在である。
「この中でここから脱出するための出口を見つけられた人、挙手!」
 皆の耳に届くようにと大きめの声で発された問い、しかし唯一の希望であるとも言えるその問いに手を挙げる者は一人もいなかった。
「……やっぱりかぁ」
「ですよねー」
 及川と黒尾が落胆混じりにため息をつく。テレビでの説明や窓一つない建物を探索している中でその結果は予想してはいたが、もしかしたらという期待が無かったといえば嘘になる。その心情はここにいる者全員が同じだったようで、机のあちこちからため息や悲嘆の声が聞こえてきた。
「出口どこにもなきゃこっからでらんねぇじゃん!!なんで!?」
「いやほんとなんでだろうなぁ……」
 一際大きな反応で困惑の表情を見せる木兎、その隣で遠い目で澤村が答えにもならない相づちを返した。
「一応三階のバルコニーやグラウンドから外には出れるみたいやけど、少なく見積もっても50階以上の高さがあるみたいやから、正規の方法以外で脱出するんは現実的やないな」
「はぁ!?50階!?」
「ここって高層ビルの中だったのかよ!?」
 白鳥沢のメンバーから渡された冊子を捲って北が報告内容を読み上げれば、その近くの席で聞いていた田中、西谷が衝撃のあまりに言葉を口から漏らしてしまう。
「そりゃぁ……確かに出れないっすわ」
 最早諦めの境地で黒尾が本日何度目かもわからないため息を吐いた。

0日目38→←0日目36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星を廻せ | 作成日時:2023年3月19日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。