検索窓
今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:2,257 hit

0日目25 ページ26

「山形さん!!」」
 本来ここにいるはずのない人物の声が聞こえて皆がばっとそちらを向く、建物の方から大急ぎで駆けてきたのは冊子確認班に回っていた白布だった。
「はぁ、はぁ……、そんな……、おそ、かった……」
「遅かったって……どういうことだよ?」
 何かを知っていそうな口ぶりの白布に瀬見が問いかける。その横では牛島が山形の容態を確認していた。
「冊子に規則が書かれていたんです、この建物の外に出てはいけない、助けを呼んではいけない、破ったらペナルティ、と」
 悔しげに歪められた彼の口から発される説明に、先程まで大声で助けを求めていた五色がひゅっと息を呑むが、紙飛行機を飛ばした山形だけが首輪による罰を受けたということは自分の行動は効果的でないとこのゲームの某に判断されたのだろうと、複雑な気持ちとともに胸をなでおろした。
「ペナルティは窒息……ですか?血、が出てますけど……」
「血は首輪が締まりすぎて皮膚が切れた、から……」
「ああ、窒息で合ってるはずだ。今は呼吸も正常にできている、苦しんでいたのは十秒ほど、おそらく後遺症などは残らないと思うが……」
 首絞めには見合わない怪我に白布が疑問を持てば天童が先程の状況を説明する。それに続き山形の容態の確認を終えた牛島も自分が見た限りの情報を考察も交えて二人に伝えた。
「そうですね、呼吸が安定しているなら……一階に医務室があります、ひとまず山形さんはそちらで休ませましょう」
「ああ、そうだな」
 白布の提案に牛島が応と頷き、自身の大きな体躯を用いて仰向けの山形をなるべく丁寧に背負いあげる。天童も付き添うことを決めたようで、未だ意識のない彼の背中をさすった。
「……今回は首絞め程度で済んだけど、これってさ、最悪……」
 同じように牛島のあとに付いてきた白布の方を見て天童が言う。彼の頭の中では人の手で抑えきれずにいつまでも少しずつ縮み続ける悪夢のような光景が思い起こされていた。
「……」
 言葉を返すでもなくただ無言のまま白布は下を向く。ペナルティがこれということは、と、彼の頭の中ではその先の最悪の事態が輪郭を描き始めていた。

0日目26→←0日目24



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星を廻せ | 作成日時:2023年3月19日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。