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それからはしっかりと勉強を見てもらった。
苦手科目である英語からきちんと教えて貰って、更に得意科目である数学も確認して貰えた。定期試験で出題される五教科全て、さも当然というように知識として持つ狐さんは本当に一体何者なんだ。
あと、興味本位で古文書いてと頼んで書いてもらった文章は読めなかった。
「……それにしても、ようそんな集中力続きますねぇ」
「へ？」
呆けた声と共に顔を上げ、狐さんの指差す時計を見れば、勉強を始めてから既に四時間が経過していた。休憩するの忘れてた。
「集中力鍛えられたのかな」
「あぁ、牛沢との修行ですか。私も指南役したるって言うたのになぁ。言うたのになぁ」
「まだそれ言うの」
牛沢さんは私の事を「弟子だ」と言って可愛がってくれる。それを始めて見た時から狐さんは、以前に指南役を申し出たのに私が蹴ったことをこうして指摘してくる。私が言うと狐さんは口角を多少上げてから、「流石に休憩しぃ」とお茶を淹れてくれた。受け取って一息つく。
「多分、狐さんの家だからじゃないかな。集中できるの」
「私の家やと集中できるんですか」
「自分の家だったら誘惑が多いから」
そう返すと、狐さんはふむ、と少し考える素振りを見せた。
「ま、大丈夫やろ。先ず赤点は取らへんと思うわ」
「えぇ、本当に……？」
「まぁ、高得点やったらご褒美あげましょかね」
「何くれるの？」
「私があげれる範囲のものやったら何でも」
「ふーむ」
そうは言われても、欲しいものなど直ぐには思いつくものではない。少し考えてから「何か考えておくよ」と返しておいた。まぁ、そういうのは本当に高得点取れてから考えればいいよね。
さて、と息を吐く。お茶飲んで休憩は出来たし、もう一頑張りだ。
―――……
「もうその辺でええんちゃうか」
やっぱりというか、私は狐さんがそう声をかけてくれるまで、時計を確認しないままずっと勉強を続けていた。分からないところを大体教えてもらってからは、ただ只管問題集を解いていたのだ。ぱっと顔を上げて時計を見るともう夕飯時も大分過ぎた、早い人はもう寝ているだろうという時間で、慌てて勉強道具を片付ける。
「わ、わ……！もうこんな時間だった！」
「ん？帰るんですか」
帰り支度を始める私に狐さんは首を傾げて言う。当たり前だ、何を言っているんだと不可解な目を狐さんを見れば、その両手には大きな器が二つ。……それは、もしかして。
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ゆたんぽ(プロフ) - つい先日この作品を知りました。すごく面白いです！執筆お待ちしております。 (2022年10月16日 18時) (
レス) @page7 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧(プロフ) - 前作から追っていましたが、久々に開いたら更新されててうれしくなりました。展開、言葉選び、どれも大好きです。陰ながら応援しています！ (2021年7月28日 15時) (レス) id: 315a454668 (このIDを非表示/違反報告)
とかげ - めちゃめちゃ好きです！！大好きです！！！こんなにも素敵な作品を生み出してくださってありがとうございます！！！ (2021年7月26日 21時) (レス) id: f7b3ff643c (このIDを非表示/違反報告)
umi(プロフ) - はじめまして。つい先日こちらの小説(第一篇)に出会い、世界観に引き込まれて一気に読んでしまいました。ほのぼの、きゅんきゅんした日常のシーンから、勢いのある戦闘シーンまで、全て読んでいてドキドキしました！これからも陰ながら応援しています！ (2021年2月18日 13時) (レス) id: ec3f8a956b (このIDを非表示/違反報告)
satou(プロフ) - ぴゃああああああ更新されたんですね！楽しみにしてます！！！ (2021年2月2日 11時) (レス) id: 9c6159a9cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朝霧 | 作成日時：2018年8月18日 5時
