誰かこの人に休みを与えて下さい。【呪術廻戦／逆ハー】

33. 不法侵入すな。 ページ33

.



パチリ、と目が覚めた。

‥‥なんだか昔の夢を見ていた気がする、とAはベッドで体を起こしながら思った。夢の内容は覚えていないが。

ベッドの脇に置いてある時計を見ると、夜の９時だったのでビビった。あれ、私いつ家に帰って来たんだっけ。えっと、２時半くらいにベッドで寝たから‥‥‥丸々７時間弱寝てた！？






「やっべ‥‥‥」






窓の外を見るともう真っ暗である。思いの外疲れが溜まっていたらしい、夜になるまで起きないとは。

ふと、彼女のお腹が空腹を訴えた。夕飯を食べていないのだから当然である。ベッドからのっそりと下りて、これからどうしようかと考えを巡らせながら取り敢えずキッチンに向かう。


‥‥‥明日、高専行きたくないな。と何の前触れもなくそう思った。







「‥‥‥‥」







五条と、決定的に喧嘩をしてしまった。

前に車内で言い合いをしたのとでは訳が違う。私は五条になんて言ったっけ、と冷蔵庫を開けながらぼんやり考える。‥‥酷い言い方、したような。

本当は分かっている。五条は自分を心配してくれたのだと。

けれど、あの時五条から掛けられた言葉に思わずカッとなってしまったから。我ながら情けないと思う。もう良い大人なのに、どうして私達は、いつまでもこうなんだろう。


五条、怒ってるかな。

‥‥そして冷蔵庫には何にも入って居なかった。







「はぁ‥‥」







何とも言い難い無力感がAを襲う。

‥‥もうやだ。どうして私はこうなんだ。毎日頑張ろうとしてるのに、いつも空回ってばっかで、自分のこともままならなくて。

あ、やべ、なんか泣けてきた。もうやだアラサーの泣き顔とか見苦しすぎて。センチメンタルすぎじゃん私。ちょっ、止まれ、止まれ涙。頼むから止まってくれ。

そう思えば思う程に、涙は溢れてきて。Aが歯を食い縛って目を擦った、その時。


＿＿＿ガチャ、と奥で玄関のドアが開く音。‥‥は？







「‥‥‥えっ、ちょ、何で泣いてんの一人で」







Aが体を強張らせるより先に、部屋にズケズケとやって来た五条は彼女の顔を見てギョッとした。

34. 今日は一人の夜じゃない。→←32. 今はその態度に救われる。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す