3/13 サンドイッチの日 ページ2
『私と彼女、どっちが大事なのよ!』
聞き覚えのない、しかし何故か懐かしさを覚えるその声で目が覚めた。
「私、は……」
一体誰の声だったのだろう。心当たりはない。だが、思わず弁明をしたくなる声だった。
「何を言い訳しようとしているのだろう……」
誰に、何を。それすら分からないのに、私はこの声の主に悪く思われたくないのだ。
考えていても仕方がないので、さち子の砲撃訓練へ行くことにした。
『ほら、やっぱり彼女の方が……』
頭の中でまた、あの声が聞こえる。
「違う!私は、私は……」
思わず声を上げる。
「私が、愛しているのは……」
考え無しに出た言葉で、私は気付かされる。
「私が愛しているのは、ユリコだけだ!」
寝間着のままなのも構わず、煙硝蔵のそばの格納庫へ一直線へ向かう。
ああ、私は今まで何をしていたのだろう。こんなにも、彼女を、ユリコを、愛しているのに。
「ユリコ!!」
勢いよく扉を開ける。ユリコが待ちくたびれたように私のことを見ていた。
「すまないユリコ。お前を不安にさせてしまって。私がはっきりとユリコに気持ちを伝えなかったから、あんな幻聴が聞こえたんだよな」
そっとユリコを撫でる。
「いや……あれはユリコの本音だったりするのか?」
私の愛する彼女は、何も言わずに佇んでいる。
「そんなところも愛しているよ、ユリコ」
私はユリコに微笑みかけた。きっと彼女も微笑んでくれている気がした。
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作成日時:2024年3月29日 0時