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26,交わらない想い ページ26

ーーーーあの太宰治が来た。
















それだけで響めきだす部下を前に女は冷静だった。









戸惑いを見せた部下達を先に向かわせ、あれだけいた人影は一切無くなり太宰と女の二人だけになった。









「あら、此処に来るのは珍しいわね。如何かしたの?」









「否、別に何も無いさ。部下を連れてるって事は
これから任務かい?」









「・・・・・・ええ。そうなの。今から向かう処だったわ」









「へぇ。今日は何の任務だい?」









「そうね。今回は殺しの私怨よ。

本当は尤迅く殺したかったんだけどね。

私の部下の力量不足でそうもいかなかったの。

でもやっと、やっと私の願いが叶うわ。」









「へぇ。君をそんなにも狩り立たせるなんて、
一体どんな女性なのだろうね」









「ふふっ。知りたいなら教えてあげるわ!
治の元恋人だったあいつよ!」









女は狂気を持った目で嬉しそうに手を広げながら、少し興奮気味に話を続けた。









「私ね、あいつの事がずっと嫌いだったの!

貴方に助けて貰ったあの日から、私は上を向いて歩んできたわ。

今の私にはあんな下を見てばかりの奴の何処が良かったか正直判らない位よ。

でもそんな苛つきも無くなるわ。
だってこうして貴方が、治が傍にいてくれてるもの」









女は少し離れた場所にいる太宰に寄り添う様に近付き甘える様な仕草で寄り掛かる。









然しそんな女の行動に目もくれることもなく、女を振り切る様に歩く。二人の距離は再び遠くなった。









太宰の表情は下を向いていて尚且つ髪で隠れており見る事は出来ない。









「標的はAだったんだ。其の願いが叶うと良いね実は私もね、今から任務なんだ」









「今から行くの?どんな任務なの?」









「そうだね。きっと直ぐに判るよ」









「・・・え?」









その瞬間二人しかいなかったはずの静かな空間で大きく耳を割く様な音が聞こえた。









其れは聞き慣れた筈の一発の銃声の音だった。

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ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時

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