37,願いと我儘 ページ37
「お願い、私にかい?」
その言葉に小さく頸を縦に頷いて腕を動かして私の服のポケットに入れておいた物を取り出し彼に見せる。
「其れは・・・私があげた・・・」
「そう。髪飾り。貰った時捨てても良いからって治さんは云ったけれど、私そんな事出来なかったの。
だって別れ際だったとしても貴方から貰った大事な贈物だったから」
「A・・・」
「だからね。この髪飾り貴方が持っていて欲しいの」
「私が・・・?」
「そう。若し貴方に次に大切にしたいと想った人が
現れるその時まで、これを私だと思って傍に置いて欲しい。私の穢い独占欲になっちゃうけど」
「次に大切な人なんて・・・。私はっ・・・私にはっ・・・君だけで善い。前に云っただろう。君しか愛せないと」
「私だけに縛られる必要なんてない。貴方にはまだ未知の無数の出逢いが待っている筈だから。
だから、簡単に死のうとなんてしないで。私の分までちゃんと、生きてね」
「嫌だっ!君がいない未来なんて、私はっわたしはっ!」
治さんが私の身体を包む様に抱き寄せる。
少し強めなその力と言動は、ここにきてやっと彼の感情を表した様な感じのものだった。
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ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時