犬馬の心 ページ24
痛みが感じない代わりにコアの呻き声が聞こえた。
ゆっくりと目を開くと目の前にはミツヒデ、木々。
そして。
「ゼン･･･」
「大丈夫か？白雪」
いつもの笑顔だ。
そう思うと気が抜けて頬が緩む。
視界がぼやけながらも笑顔になった。
「コア・マルク。お前を拘束する」
「殿下！なぜこんな無知な奴の友人などになったのですか？私は理解不能です！私は、私は･･･貴方のために尽くす気持ちでいっぱいなのに！」
「俺の仲間を侮辱するな！それに俺としてはお前の方が理解不能だ。お前のような人を苦しめる奴が人を助ける仕事に就いているのかがな」
ゼンの冷たい表情がコアの心を突き刺し俯いてしまった。
大人しくなり拘束するとゼンが白雪に抱きつく。
ミツヒデと木々もその光景に笑顔になる。
「何もされなかったか？」
「うん、ちょっとナイフが首に当たっただけ」
その傷を見て再び睨み剣を構え出すゼンにミツヒデは抑え込む。
「･･･どうしてこんなことをしたんだ？」
「･････････私は元々城下の者でした。ある時ゼン殿下が困っていた私を助けてくれたのです。こんな平民のために助けてくれた御恩を返すために私もこんな風に人を助ける仕事をしようと必死に勉強した。しかし落ちて落ちて･･･。それでも貴方の為だと思うと頑張れた！だから白雪が殿下の友人と知ってすごく苦しかった。私だって本当は貴方のお側にいたかったのに･･･！」
声が小さくなっていくのを見て白雪は俯く。
しかしゼンはコアの元へ行き視線を同じにする。
「そうか。俺の為に頑張ってくれたのか･･･。だが恨みや妬みがあろうとも人を汚すな」
そう言ってコアの頭を撫でる。
それが心に突き刺さったのか彼女は何度も謝りながら泣きじゃくった。
＊
「それで、オビとAはどこにいるんだ？」
コアも泣きやみ冷静に現状確認をとる。
「もし捕まったのであればきっと賊のアジトです」
「しかし場所は一体」
「アジトの場所なら私が知っています。私を連れていってください」
そう言ってコアは立ちあがる。
「待て、なぜお前がそれを」
「3人を盗賊に襲わせたのは私です」
覚悟の目だ。
そう思い白雪は行こう、とゼンを促す。
ゼンもわかったと頷きオビとAの所へ目指した。
続く
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作者名：あるみ | 作成日時：2017年5月31日 21時
