ただいま ページ44
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『ただいま、』
「あー!おかえり!」
「おー、Aおかえり」
「晃と一緒に帰ってきたの?」
『うん、そこで別れたけど』
年末、本当に年末になってしまったけど実家に帰ってきた。大晦日のお昼過ぎ。変わらない笑顔で迎えてくれた2人にはいつも感謝してる。
『部屋、掃除した方がいい?』
「掃除機かけて布団変えるくらいならしたけど、」
『じゃあいっか、』
「今年は晃んちで年越しだからねー」
『あれ?前はうちだっけ、』
「うん、そー」
「A、疲れただろ、風呂入れば?」
『相変わらずお風呂はお父さんの仕事なんだ』
「おう、ちなみに3年前からトイレも俺になった」
「お父さんやってくれて助かるわー」
「模様替えもしなくなったから、力仕事もなくなるからな」
『お父さんつくづく偉いと思う、』
「とりあえず、着替えてらっしゃい、」
『ほーい、』
部屋に戻って隣の家を見た。ベランダから見えるのは晃の部屋。あたしに気づいては笑って手を振ってる。昔はよくこの窓開けてお喋りしたっけ、漫画みたいに飛び越えたりはしてないけど。晃がベランダの窓を開けたのであたしも開ける。
「A、」
『ん?』
「いつ、切り出す?」
『どうする?』
「みんな集まって宴会始める前?」
『それが一番いいかなーって感じてた、』
「そうだよね、」
『一応正装したほうがいい?』
「俺、一応スーツ着ようと思ってた、持って帰ってきたし」
『え、まじか』
「A、そういう系ある?」
『うん、一応持ってきた、』
「幼馴染で昔から知ってる両親とは言え、ね」
『なんか、緊張してきた、』
「ねえ、」
『ん?』
「これ、飛び越えれるかな、」
『や、無理でしょ、落ちたらどうすんの、選手生命絶たれるよ』
「だよね、」やめとく
『…もう、』
「いつもすぐ触れられる場所に居るからさ、なんかこうやって仕切りあると妙に触れたくなる」
『ふふ…可愛いね晃、』
「とりあえず、走ってくるわ」
『うん、気をつけてね』
「行ってきます、」
ウインドブレーカーのチャックを閉めた晃は笑顔で部屋を出て行った。ああ、あんなに照れくさいことをさらっと言うなんて、晃は本当にずるい人。
(A!そろそろ行くわよ〜)
(あ!ちょっと先に行ってて!)
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いちか(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます!きゅんきゅんしましたかね?良かったです。結婚式や子どもが生まれた話など書いてほしいとのお話もいただいてますので検討中です◯ありがとうございました! (2019年2月24日 0時) (レス) id: d72f7e0d49 (このIDを非表示/違反報告)
りりり - 更新を楽しみにしていた一読者です。ものすごくキュンキュンしながら読ませていただきました。家族となった2人のお話の続編も楽しみに待っております。 (2019年2月22日 12時) (レス) id: a5ef03bd84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちか | 作成日時:2018年10月28日 20時