たくさんの愛に包まれて

プロローグ ページ1

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『、ふあ……』





目覚まし時計の音で目が覚めた。

いつもと同じ時間。



大学に行く準備をして、

いつもと同じ時間の電車に揺られる。



毎日同じことの繰り返しだけど、

その中にも幸せがあって。

小さな幸せに喜びを感じる毎日も悪くない。





……カシャン、





『…、あ』





ただ、

彼がいなくなって、

ぽっかりと心に穴が空いた。



小さくて、

大きな穴。





−これ、今日で１年やし。貰ってくれる？−





机から落ちた彼に貰ったネックレスは

今でもしまい込めずにいる。



彼と選んだ部屋の灯り。

彼に、これがあたしらしいと選んで貰ったの。

部屋中を見渡すと、

彼との思い出のものがたくさんある。



嫌でも彼を思い出し、振り向いてしまうの。



もうどこを探しても、

あたしのそばに彼は居ないのに。





『…いってきます、』





足枷になる思い出は、そろそろさようならしないとね。



ねえ、

そろそろ解いてよ。





『…』





また、

同じ毎日が始まった。



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