薬指の秘め事 (２)

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『ハルくん、』

「A、」





良かった、来てくれて。なんて、ハルくんはあたしに駆け寄るなりふわりと笑った。あたし昨日最低な態度とったのに、笑ってくれるの？





「昨日は、ごめんA」

『いや…その、あたしの方こそ』

「俺が悪いから、」

『…ハルくん、』

「あのね、A」

『…はい、』

「詳しいことは、札幌に戻ったらちゃんと話す」

『…』

「ただ今言えるのは、リカとは、もう何も無いってこと、」





だから信じて、とハルくんはそっとあたしの頰を触った。ねえハルくん、なんでそんなに、切なそうな顔しているの？





『…うん、わかった、信じるね、ハルくんのこと』
「ありがと、」





恋心って、単純だ。彼が笑えば、何もかもがどうでもよくなる。昨日のことだって、わすれてしまうんだから。





『じゃあ、行くね、ハルくん』

「うん、」

『頑張ってね、』

「さんきゅ、」





顔をくしゃくしゃにした笑う、あなたの笑顔が好き。大きな手をひらひらさせて、ハルくんは戻るべき場所へ戻って行った。





『っ』





好きが溢れてしょうがない。



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