漆話 「私ノタメニ」 ページ9
「織田作之助って知ってる?
性格とかは似てないんだけど、どことなく雰囲気は似ているし、髪の色とか。
あとは、君が云っていた遺書の言葉。私は織田作に云われたのだよ。
どうだい?」
「太宰、その織田作…とは、一体誰のことだ?」
国木田さんが聞いた。
「私の昔の友人だよ。ま、もう亡くなっているけどね」
太宰さんの答えに国木田さんははっとし、悪い、とすまなそうに云った。
私は…
「嗚呼、やはり貴方が太宰さんでしたか……」
兄がいつも云っていた
「じゃあやっぱり…!」
「はい。私は、織田作之助こと、織田作の実の妹です。」
「妹…!
……やっと、見つけた。」
「え?」
見つけたって、どういうこと?
「織田作に、君のことを頼まれていたのだよ。
顔は知らなかったけど、自分に似ていると云われていたからね。非番の時などは、よく探していたのだけれど…中々見つからなくてねぇ」
太宰さんが云った。
そう…だったんだ……兄さんが…
「……兄から、よく貴方のことを聞いていました。
貴方のことを話す兄はとても楽しそうで」
本当に…とても楽しそうに話していた。
マフィアという、黒の組織だから、少し心配はしていた。
でも…
太宰さんのおかげで、兄は幸せそうだった
「本当に…兄と仲良くしてくれたみたいで……
ありがとうございました」
私はその時、自然に笑えていたと思う。
楽しそうに話す兄の顔は、今でも頭に浮かんでくる
「……そうかい、織田作がねぇ。
ふふっ…嬉しいねぇ。」
太宰さんは兄を思い出すかのように悲しく、でも、嬉しそうに微笑んでいた。
「Aちゃん!」
「は、はいっ…」
ふいに名前を呼ばれて、少し吃驚した。
「君は生きる意味がないと云ったね。ならば
私が君の生きる意味になろう。
私のために生きなさい、A!」
太宰さんの…ために……
こんなことを云われたのは、生まれて初めてで……とても胸がドキドキしている
私の目からはポロポロと、涙が溢れた。
でも、それは悲しい涙じゃない。
私は精一杯の笑顔で
「はいっ」
と、答えた。
その返事に、太宰さんも嬉しそうに微笑んでくれた。
.
(良い話ですねぇ……ズビッ)
(何故お前が泣いている、小僧)
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船長 - 九尾と狐が大大大好きでサイコーでした。!これからもコーシンよろしくお願いします (2017年4月29日 16時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - サユキさん» 織田作に妹とか兄弟がいたらどうなるのかなぁと思って作った設定なんです!応援ありがとうございます! (2016年11月27日 22時) (レス) id: 42d9b51195 (このIDを非表示/違反報告)
サユキ - 織田作妹設定、最高です。何回も読みたくなりますね!応援してます。 (2016年11月27日 19時) (レス) id: af3a803923 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - Chrisさん» あ、そうなんですね!教えて頂きありがとうございます!何せネットでチラッと見ただけだったので… (2016年11月5日 0時) (レス) id: 42d9b51195 (このIDを非表示/違反報告)
Chris(プロフ) - コメント失礼致します。英語の綴りが気になったので……。Trick 'BUT' treatです! (2016年11月4日 23時) (レス) id: 2c836ec423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三毛猫 | 作成日時:2016年7月9日 18時