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そろそろ閉店作業を始めようと思っていたら
ーーカランコロン
『いらっしゃいませ。……あれ、長尾くん？』
謙「こんばんはっ」
そこには、いつもの明るい笑顔の長尾くんがいた。
『長尾くん、いらっしゃい。お客さん他にいないから、好きな席どうぞ』
謙「ありがとうございます！すみません、閉店間際やのに…」
『ううん、大丈夫だよ。ラストオーダー過ぎちゃったから食事は出せないんだけど、大丈夫？』
謙「全然大丈夫です。ホットコーヒーお願いできますか？」
『かしこまりました』
長尾くんは慣れた様子で、いつものカウンター席に座った。
わたしはキッチンに向かい、長尾くんのためにホットコーヒーを淹れる。
『はい、お待たせしました』
長尾くんの目の前にそっとコーヒーカップを置く。
謙「ありがとうございます」
お礼を言って、ゆっくりコーヒーを口に含む。
『今日金曜日なのに珍しいね』
謙「５限が休講になったんです。それで時間ができて…なんとなくここに来たくなって」
『そうだったんだ』
店内に他に誰もいないせいか、まったりとした空気が流れる。
『あ、そろそろ閉め作業しないと。長尾くん、ゆっくりしていってね』
わたしがその場を離れようとすると、
謙「………あのっ！」
長尾くんに呼び止められた。
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作者名：雪 | 作成日時：2022年11月24日 4時
