今日:16 hit、昨日:7 hit、合計:74,971 hit
小｜中｜大
＊34 ページ34
入口から展望台まで真っ直ぐ進む。
秋バラの見頃は終わってしまったようで、人はまばらだ。
謙「うわぁー！」
『……綺麗』
展望台に到着すると、ちょうど夕日が海に沈んでいくのが見えた。
謙「そやっ、写真写真！」
長尾くんがフィルムカメラを取り出し、パシャっと写真を撮っている。
なんとなく、わたしもスマホを取り出して写真を撮ってみる。
右隣を見ると、まだ長尾くんはカメラを構えていた。
その姿もこっそり写真におさめる。
もう一度景色に目を向けると夕日はほぼ沈んでいて、
わずかなオレンジの光が夜の空に溶け込んでいた。
ふたりとも無言で景色を見つめた。
小高い丘の上にある展望台からは、横浜港に広がる街並みやベイブリッジが見渡せる。
謙「なんか、夕焼けハンターを始めたきっかけがあって」
長尾くんがぽつりぽつりと話し始める。
謙「地元におった頃、いろいろ悩んでて。…進路とか。
ある日思いつきで海に夕日を見に行ってん。」
『そうだったんだ…』
謙「そこで見たんが、あったかいオレンジ色の夕焼けで…
なんか落ち着いたし、気持ちを前向きになってん。
実際調べてみたら、夕日のオレンジ色って心を浄化してくれる作用があるらしいねん。」
『そうなんだ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 352人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪 | 作成日時：2022年11月24日 4時
