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Y.Hokuto ページ1
side you
「A、ちょっと出かけてくる」
彼は最近オフになるとよく出掛ける。
嬉しい事に毎日お仕事で忙しい彼。
その中にちょこっとだけ貰える休み。
そりゃ息抜きもしたいよね…
一緒に行くのは恐らく藤原くんだろう。
この前も恐る恐る聞いてみたら
普通の顔で「樹だよ」って言われた。
ふたりの仲の良さはわたしでも分かる。
「この前アイツがさ〜、」と話し出したら
それはもう藤原くんの事。
話す彼も嬉しそうなのでなんとも思わない。
『うん、気をつけてね』
彼を玄関まで見送って鍵を閉める。
カチャン、とわたしが玄関の鍵を閉める音が鳴ってから
彼の足音が遠のくのは、彼なりの優しさなのだろう。
少しばかりかその優しさが嬉しくて頬が緩む。
けど、
『わたしより藤原くんかぁ…』
せっかくわたしとオフが被ったのに。
『少しぐらい一緒に居てくれてもいいじゃない』
彼の重荷にはなりたくない。
だから、そんな言葉を彼の前で言える訳もなく、
今は重くなった瞼に従った。
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作者名：水実 | 作成日時：2019年8月1日 0時
