彼女は/彼は ページ19
ただ普通の生活がしたかっただけ、
それ以外は、何も、望んでいないのに───
とっても都合が良かった。
カタリナ様といるだけで普通に戻れるなんて
何もない私は、想像もしていないだろう。
思わず、笑ってしまった。
彼女等には、私の事情を話した。
きっと、今この状況の最善の選択だったと思いたい。
先に帰ってもらい、久し振りの一人の時間を過ごす。
ここ最近はずっと煩かったから。
こうして、静かなのは良い事だ。
窓枠に手を置き、ただ空を見ていた。
夕日が差し込んでいて、とても綺麗だ。
後何分、今の私は持つだろうか。
もうちょっとしたら、いつもの歪んだ私に戻る。
それが、何だか悲しくて、悔しくて
…そんな悲しい事、今は駄目だ。
ふと気付く、私が講師をするという話をするのを忘れていた。
カタリナ様の反応が目に浮かんだ。
きっと、驚いてくれるんだろうな。
それが楽しくて、笑った
それが寂しくて、泣いた
体験するのは私じゃなくて、あの歪んだ私なのだから。
でも、少しだけ、少しだけ私の幸福を望んで良いのかなぁ。
──そんなの当たり前だ、さて時間だ。切るぞ
せっかちな彼、人が楽しく妄想しているのに。
でも、彼もいっぱい待ってくれた。いや、今もだ。
だから、最後に彼に─────
………伝わるかなぁ
ーーー
ーー
ー
ふと気付くと、何故か教室にいた。
私が何をして、ここに至るか、全くわからない。
目線を下に動かすと、何故か日記が開かれていた。
書かれている文字で状況を把握しようとするが、そこには訳のわからない言葉が書かれていた。
これは、必要のない情報だ。消そう、そう思っても、手を動かせなかった。
仕方ない、放置しよう。
ここが何処だかわからないが、適当に帰ろう。
帰る途中、書かれていた言葉が気になった。
なんて、私らしくないのだろう。
けれど、口に出して言いたくなった。
「さようなら、また会う日まで。恋した貴方へ………か。本当に何なんだこれは。まるで、」
そう、まるで、恋した男女が言う台詞である。
顔をしかめながら、私は寮へと戻った。
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両儀家の畳(プロフ) - カメ豆腐さん» ありがとうございますとても嬉しいです！！！ (2020年5月2日 0時) (
レス) id: 828b8ad4db (このIDを非表示/違反報告)
カメ豆腐(プロフ) - はめふらの小説あるなんて！続きが楽しみです！これからも更新頑張ってください！ (2020年5月2日 0時) (レス) id: dc76f76660 (このIDを非表示/違反報告)
両儀家の畳(プロフ) - 怜奈さん» ありがとうございます！！更新意欲がとても湧くので感謝です！！！ (2020年4月25日 14時) (レス) id: 828b8ad4db (このIDを非表示/違反報告)
怜奈(プロフ) - いつも、楽しみに見ています！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月24日 23時) (レス) id: f5d18b0d48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：両儀家の畳 | 作成日時：2020年4月20日 22時
