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「…随分と強気じゃねぇの」

『ここに立てば、全員殺るか殺られるかなんですから』




性別も、年齢も、善悪も関係ない。

全員等しく、命を落とすのだ。



寄せられた青キジの眉根に、ハッと鼻で笑う。

紫の瞳を捉えた黒の瞳を見て、私は手の中で刀を一度回した。


攻撃が来ることを予期した青キジが身を引こうとするが、私の体に触れていた手をそのまま押さえつけ動きを封じる。
じくじくと異様な冷たさで肌が痛むがそれに構わない私に焦りが滲み出た彼に、不敵に笑う。




『なんのこれしき』




左手に握られた刀が放つのは斬撃ではない。
風が空を切るような、鋭い打撃。


青キジに一撃を打ち込むと同時に割れた刀身に、彼は赤犬に仕掛けた技を見ていたため砕け散った欠片を警戒する。

__それを嘲笑うように牙を剥き、懐から呪力を纏わせ続けていた短剣を取り出した。

太陽光を反射し輝く破片が私と青キジを断片的に映し、驚きに目を見開いた青キジが視界に入る。



一瞬の迷いが決定打となる戦場で、それは絶好の機会だった。




『__彼岸視術''徒花''』




呪力が足りずに不格好な術式、けれど十分な意味はある。



青キジの体に咲いた彼岸花は、彼の死を予期する訳では無い。

《ここに当てれば攻撃は通る》という情報を可視化させる、急所を示す技だ。



短剣の切っ先は真っ直ぐに青キジの腹部を狙い、それを読んだかのように彼は体を捻じるが、当たる場所を予期するのだ、ほぼ百発百中に等しい攻撃は皮膚を切り裂く嫌な音と共に血飛沫をあげる。

痛みを表情に出した青キジだったが、流石は場数を踏んできているだけあり痛覚を二の次に反撃に出る。

雀の涙ほどしか残っていない呪力による倦怠感と大量出血によるめまい、それらにより反応が取れなかった私は脇腹に真っ直ぐ伸ばされた衝撃を受け吹き飛ばされる。

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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時

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