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“飛英” ページ47

No side

『私はお前みたいなザコにやられるほど弱くはない。

伊達に特級やってないんでね』




そう言って、挑戦的に持ち上げられたAの口角。
いつもの冷静な姿からは想像もつかない悪戯なその笑みに、誰かが息を呑む音が聞こえた。


マゼランの背後に見えるAは、重心を深く落とし合わせた手のひらを強く握っている。
突き出したその拳を照準を合わせるようにマゼランへ向けた彼女は、薄く開いた赤い唇から深く息を吸い込んだ。




「“地獄の審判”__!」

『彼岸視術__』




マゼランが操る死の手が、Aの命を刈り取らんと伸ばされる。



しかし、それより前に、赤い何かがその場にいた者たちの視界を遮った。



風に乗り、踊るように舞うそれは、赤い花弁。

囚人の一人がそれに触れようと手を伸ばした瞬間__まるで触れるのを拒むように、肌が粟立つ程の殺気が放たれた。

死神の足音の如く、寒気となって人々の動きを止めたそれは、その場にいた全員の意識をAへ再度向ける。


鍵を開けるようにゆっくりと回されたAの拳。

手の甲に刻まれた眼が、敵を捉えた。




『__《飛英》』




ゴウッ、と凄まじい爆風が吹き荒れ、Aの両の拳を起点に衝撃波が起こる。
大質量の威力を伴うその破壊は、彼岸花という死を纏い、マゼランへと襲いかかった。




「__ゥグッ?!!」




マゼランのみならず悪魔を模した能力をも吹き飛ばしたそれに、囚人たちは文字通り絶句した。

海へと叩き落とされたマゼランは海に嫌われる能力者故に沈んで行くことしかできず、解除された毒の能力は消えていく。

それを成した当の本人はと言うと、結んでいた手を離し大きく助走をつけ一気に空へと飛んだ。
空中で薙刀を掴み取り、大きく息を吸い込んで、叫ぶ。




『_ルフィ!!』

「おう!!」




ルフィは威勢のいい返事と共に、伸ばした腕をAにぐるぐると巻き付けて捕らえる。
そしてそのまま、彼の乗るジンベエザメの上へ引っ張られた。
ゴムの伸縮性により切り裂くような風の音が耳朶を打つが、ルフィが受け止めたため衝突は回避。

硬い彼の胸板に当たった顔を持ち上げると、屈託のない笑みがこちらを見下ろしていた。




「お前すげぇな!!」




その笑顔が眩しくて。


“彼”をAに思い出させて、彼女はその純粋な賛美に微笑みを返した。

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改革 - 面白かったです。イラストも綺麗で感動しました (4月18日 9時) (レス) @page50 id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なぎしば | 作成日時:2022年12月26日 21時

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