ホームシック ページ39
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暑くなった周囲の空気に、レベル4に入ったのだと理解する。
遠くの方で聞こえる喧騒からどうやら彼らはまだこのフロアにいるようで、所々に発生している呪霊もやけに目に付いた。
攻撃力を持たない蠅頭程度のものだが、何れ時間が経てばもっと凶悪なものも生まれてくるだろう。
ここに来たばかりの時はまだ見ることの滅多になかった呪霊の発生に首を傾げつつも、無駄な呪力消費は避けたいと呪力を微量に込めた短剣で手近なものだけ祓っていく。
私は決して呪力量が多いわけではなかった。
特級と言えば五条先生や憂太が目立つせいで呪力の総量も桁違いかと思われがちだが、必ずしもそうとはいえない。
五人いるうちのあと二人__九十九術師には会ったことがないので分からないが、呪詛師の夏油傑も高専の二人に比べれば少ないと言えただろう。それでも、並の呪術師が見れば目をひん剥く程の量はあるのだが。
しかし私は、他の四人に比べると呪力量が圧倒的に少ない。
件で言えば憂太とトントンかもしれないが、私単体で見れば彼らには遠く及ばないほどに。
件といくら相性がいいとは言ってもそれは呪力の共有には繋がらず、あくまで件と可能なのは体の受け渡しのみであり、それは完全に別人としてスイッチが切り替わる。
しかしそう言ったマイナスを背負ってもプラマイがゼロになるほどに、特級仮想怨霊を体内で完全に操れていることは異常で驚異であり、それ故の特級である。
もちろんそれは自分の実力とは違うため、特級の称号に引け目を感じているのも事実だ。
私はあまり呪力を浪費する訳には行かないので、先をルフィさん達が行ってくれていたのは正直言ってかなりありがたかった。
そうして流れ作業をこなしているうちに近くなった叫び声。
そろそろ合流できるかと目を凝らすと、奇抜な格好をした元囚人達が視界に入り、短剣を懐にしまった。
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改革 - 面白かったです。イラストも綺麗で感動しました (4月18日 9時) (レス) @page50 id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎしば | 作成日時:2022年12月26日 21時