廻った世界で月を待つ【ONEPIECE】【呪術廻戦】 (ページ32)

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流転するページ32

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人生万事塞翁が馬＿＿そういうように、何が起こるかわからないのが人生である。

だから、この事態の予測が着くはずもなくて。

「エースさん、わしァ…あの女のことはわからんが…やっぱり嘘と考える方が…」

「…じゃあわざわざここまで嘘つきに来たってのかよ！！」

「…！！」

エースさんの公開処刑当日、一目彼の顔を見たいと言って現れたのは、女の私でも見惚れてしまう絶世の美女、“海賊女帝”のハンコックだった。

彼女の玉のような美しさに囚人たちは騒ぎ立て、もちろんそれに付き添いの署長が黙っているはずもなく。
彼の持つドクドクの実で永遠に黙らされた囚人たちのその騒動の間に、彼女はエースさんにこっそりと耳打ちしたのだ。

＿＿エースさんの弟さんが来ていると。

耳にタコができるほど、弟さんであるルフィさんの話は聞かされてきた。
愚直な姿勢は聞いていて呆れてしまうほどで、けれど楽しそうに、嬉しそうに話すエースさんに、自然と相槌の中に笑みも零れた。

「…いや、悪ィ…だけどよジンベエ、そういう弟なんだ…そういう無茶しやがるんだよ…！！」

悔しげに歯を食いしばりながら言ったエースさんに、ジンベエさんもついに口を閉ざした。
私よりエースさんと付き合いの長い彼のことだ、きっと私よりもルフィさんの話は聞いてきただろう。

この人は生を望まれている。
彼の親が極悪人だから、なんて関係なく、彼は愛されるべき人間なのだ。

伏せていた顔を上げれば、相変わらず視界は赤で埋め尽くされている。
それは、エースさんの死を予言する彼岸花。

つまり近い未来、否、処刑が行われる今日にでも、ルフィさんの必死の救出も虚しく失敗に終わり、彼は、死ぬ。

私だけが知るその未来を望む人は、どれだけいるのだろうか。

『…エースさん』

決まったその運命に一つだけ抗う方法があった。

彼の眦の垂れた、優しくて強い光を宿していた瞳がこちらを向く。もう、その光は燻ってしまっているけれど。

もしあなたが望むなら、私は自分の身を投げ打ってでもあなたを助けよう。

私にそう思わせるには、彼の人柄の良さも、過ごした時間も十分だった。

＿＿彼の人柄に、魅せられたのだ。

『生きたいですか？』

大きく見開かれた彼の瞳が語ったのは。