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二、三十人ほど押し込めば入るであろうその空間にはこびりついた血の跡が残っているだけで、女一人を押し込むには広すぎる。
足枷を引きずって牢屋の中央まで行くと、がちゃん、と豪快な音を立てて扉が塞がれた。

看守は必要最低限の連絡だけを済ませ、こんな空間に居たくないとでも言うように早々に立ち去ってしまう。



監獄側の人間がいなくなると、元々騒がしかったフロアが火に油を注いだように一層騒がしくなった。




「おいお嬢ちゃん!!アンタ一体何したんだ?!」

「よっぽどのことしなきゃここには入れられねぇぜ?」




ギャハハ、と下品な笑い声を無視して牢屋の一番奥に腰を下ろす。
硬い感触は決して心地がいいとは言えないが、それでもあの時死刑執行のために閉じ込められた空間よりはましだ。
「つれねェなァ」と未だなお笑い続ける囚人達に、少し思案する。



インペルダウンは階層ごとに異なる地獄が用意されている。

最下層であるここは、無限地獄。

きっと彼らは少しでも暇つぶしが欲しいのだ。


私が話しかければ、彼らは喜んで己の武勇伝を語り出すだろう。
そうすればもしかしたら、ここにいる間にも少しはこの世界を知れるかもしれない。

損得を天秤にかけ、傾いたのは。




『天竜人に逆らっただけ。それだけですけど』




私が選んだのは、情報の確保だった。


私が嘘偽りなく答えると、一気に場は静まり返った。
思わず眉根を寄せると、次の瞬間には大きな笑い声が大気を揺らす。




「それだけ、って、大した嬢ちゃんだなぁ!」

「天竜人に逆らうとは、ただの女じゃねぇな!!」

#→←人を殺して死ねよとて



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改革 - 面白かったです。イラストも綺麗で感動しました (4月18日 9時) (レス) @page50 id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なぎしば | 作成日時:2022年12月26日 21時

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