廻った世界で月を待つ【ONEPIECE】【呪術廻戦】 (ページ16)

今日:6 hit、昨日:24 hit、合計:373,036 hit

人を殺して死ねよとてページ16

．

じゃらりと、重い鎖で繋がれた腕を持ち上げる。
縞模様の上下は囚人を見るものに思わせ、足裏に感じる冷たい石の感触も不愉快だった。

文明の停滞を思わせる粗末なエレベーターに乗って運ばれた、海の中奥深く＿＿インペルダウン、Lv.６。
世間には隠蔽されているこのフロアは、数々の大罪を犯した囚人の中でも極ひと握りの、政府が消したがっている犯罪者を詰め込む場所らしい。

確かに、私はここに入れられる条件は揃っていた。
政府が護るべきであった世界貴族を命の危機に晒し正面から反抗した。
政府は自分たちが成し遂げるべきであった天竜人の護衛という責務を無事果たせなかったことを世間から秘匿したがるだろう。

自分の選択が間違っているとは思わないが、つくづく自分の不運を恨んではしまう。

そしてそれを象徴するように腕に嵌められた錠前はあの世界で見たものよりずっと頑丈なものに見えた。
どうやらこの世界に存在する悪魔の実という力を封じ込める力があるらしいが、私には全くもって意味が無い。

現に今もそこら辺に湧いている呪霊を祓うことが可能で、ここにもいるものなのだと驚いていると、手袋の外された左手に刻まれた件の紋様がこちらを見つめてきた。

「＿＿うおぉ！女じゃねぇか！しかも若ェ！！」

「おい看守！！その女こっちに寄越せ！」

「黙っていろ囚人共！！」

飢えた獣の如く吠え立てるのは、牢屋に囚われた極悪人達。

監獄という地獄に囚われて尚野心を失わない爛々と輝く眼差しは、いっそ不気味だ。

私は横目で彼らを見やってから、「ここだ」と看守に示された牢屋に足を踏み入れた。