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危ない仕事 ページ10




「…テメエ、今何考えてんだ」

『…雲、美味しそうだなぁって』

「此奴は馬鹿なのか…」









覗き込んで見えた彼女の無表情に、左馬刻は片眉を下げて問う。
一拍おいて帰ってきた返事に左馬刻は再度項垂れ、此奴にはもう何を言っても無駄だろう、と追求するのを諦める。








『…質問の答えは?』

「は?」

『だから、シロ君の両親の話』









「嗚呼」と納得してしまう左馬刻に、夜空は微かに目を細めた。








「俺様も両親はいねぇよ、妹と二人で暮らしてる」

『私も弟が三人いる。
…妹さんは可愛い?』

「可愛いに決まってんだろ」

『そっか』









食い気味に答えて来る左馬刻の圧に少し身を引きつつ、夜空は視線を落とす。
気不味い沈黙が訪れ、夜空は左手の傷跡を指でなぞった。
左馬刻はその仕草に目をやって、それから浮かんだ質問を言う。








「今日、何しに横浜まで来たんだよ。
此処には孤児院なんてもんねぇだろ」

『暇だからシロ君に会いに来ただけだけど』

「本当にそれだけなのかよ」

『…後、バイトで近くを通ったから』









バイト、その言葉に左馬刻は片眉をあげる。
バイトで近くを通ったとは言うが、午前中で終わるバイトは珍しい。
喫茶店などのバイトだとしたら、恐らく昼休憩を挟んだりして午後も働くだろう。

もしかして、朝帰りになるようなバイトなのか。
左馬刻は目を細め、夜空の容姿を見つめる。
顔は異様に整っているが、まだ何処かあどけなさが残っているのはたれ目のせいか。
少なくとも、此奴の見た目では年齢は偽れないはずだと、疑問を抱いて。








「ソラ、バイト何やってんだ?」

『…危ない仕事?』

「は?」

『…ほかの人には内緒ね』









そう言うと左馬刻の耳に唇を寄せ、誰にも聞こえないように囁いた。









『保険金詐欺の手伝い』









ゆっくりと離れる夜空に、左馬刻は何度か目を瞬く。
夜空はそれを首を傾げて見つめた後、視線を公園に向けて言った。








『お金を持った偉い人達が、更にお金を貰うために保険をかけてる商品を態と身内の泥棒に盗ませるの。
それで被害届を警察に出して 取引を済ませれば保険金が降りて来るから、その偉い人達は手元に商品も密かに戻って来て、大量のお金も貰える。
…それが保険金詐欺』

「…それって大丈夫なのか?」

『捕まったら終わりだけど、でも報酬は手際によって弾んで貰えるから。
手元に来る金額の10%。
…大体一回の儲けで100万とかは貰える』


盗難癖→←間違った優しさ



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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます! (2020年5月23日 21時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね!私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年5月23日 16時

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