December：黄色いチューリップ ページ37
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誰もいない公園で夜空は先の赤く染まった髪を揺らし、ほぅ、と息を吐く。
冷たい外気に晒された吐息は白く染まり、外の寒さを表していた。
濃紺のカーディガンを羽織り、白のマフラーを巻きつけ手はポケットに突っ込む。
鼻の先が寒さを主張する中で、夜空は己の双眸で目当ての人物を探した。
そして、入り口からゆっくりと歩いてきた白髪の人物に手を振る。
「寒いな、今日は」
『うん。
何処か室内に行く？』
「…隠れ家でも行くか？」
『そうする』
皺のついたスカートの裾を払って直し、歩き出す左馬刻に小走りで追いつく。
夜空の渡した薄黄色のマフラーから覗ける彼の耳は真っ赤に染まっていて、夜空は視線を落とした。
ふと視界の端にちらつく淡い色を見て、彼女はある花を連想する。
『シロ君、黄色いチューリップの花言葉って知ってる？』
「チューリップ？」
眉根の寄った皺を更に深くする左馬刻に、夜空は彼の瞳を見て首を傾げる。
左馬刻の耳からは赤いピアスが現れて、夜空はそれに目を細めた。
『そう。
チューリップは色ごとに意味があるんだけどね。
…知ってた？』
「…いや、知らねぇな。
どういう意味なんだよ」
左馬刻の問いに、夜空は彼から視線を外す。
そして少し悩んだ後、唇を震わせた。
『内緒。
調べて見て』
「あ？
ンどくせーな…」
ガリガリと頭を掻く彼は前を向き、言葉と共に白い息を吐き出す。
『あと、今度おっきな仕事入るから。
暫く会えない』
「そうかよ」
『うん、一週間くらいかな』
「まあ、それぐらいならどうせすぐだろ。
うまくやれよ」
『分かってる』
左馬刻の細く長い指が夜空の繊細な髪を梳く。
そのこそばゆい感触に目を細め、夜空は顔を俯かせた。
僅かに赤くなった�茲は、寒さのせいか、はたまた違う何かが原因か。
けれど、彼女の鼓動は高く鳴っていた。
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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます！ (2020年5月23日 21時) (
レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね！私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい！ (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Cynic** | 作成日時：2020年5月23日 16時
