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二人の関係 ページ32




『____六度八分。
熱下がったね』

「合歓、大丈夫か?」

「うん!
もう平気だよ!」








電子音とともに抜かれた体温計。
それに表示される数字を見て、夜空と左馬刻は安堵の息を吐く。
左馬刻はさらりと彼女の頭を撫でてから、合歓をぎゅっと抱き締めた。









「お、お兄ちゃん、お客さんいるんだから…」

「大丈夫だ、其奴も弟いるから」

『私もブラコンだから、気にしないで』









微笑ましい兄妹のやり取りに、夜空は微笑む。
何処かズレた理由で合歓を納得させる二人に、合歓は首を傾げながら頷いた。
そして、二人の耳に光るピアスに気付く。








「ピアスお揃いなの?」

「嗚呼、まあな」

「…二人の目みたいだね」









「綺麗」と言って左馬刻の耳に手を伸ばす合歓に、夜空も自然と自分の耳に触れた。


緑と赤。
それは、夜空の弟である一郎の色でもあった。
左手の傷に親指で触れる。









『…合歓ちゃんの瞳も綺麗だよ』

「?」

『シロ君と一緒で、真っ赤な瞳。
…すっごく、綺麗』









吸い込まれそうな真紅の瞳。
夜空はそれを見て目を細め、近くに置いてあった鞄を持って立ち上がった。









『私、そろそろ帰るね。
合歓ちゃんの体調も良くなったみたいだし』

「おう、そうか。
送ってくぞ?」

『ううん、平気。
…じゃあね、合歓ちゃん』









玄関まで歩いて行き、仲良く手を繋いで見送ってくれる二人に微笑んだ。
合歓は夜空の顔を見て、花が咲くように笑う。









「うん!
ソラお姉ちゃんも、また遊びに来てね」

『…うん』

「じゃあな、ソラ。
気をつけて帰れよ」

『わかってる。
…じゃあね』









小さく手を振って扉を閉める夜空。
合歓は振っていた手を下ろして、兄を見上げた。









「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「…ソラお姉ちゃんは、お兄ちゃんのお友達?」









左馬刻はその言葉に、喉を詰まらせる。
そして、合歓と視線を合わせて何処か悲しげな笑みで言った。









「違ぇよ。
…ただの《知り合い》だ」









夜空と照らし合わせたように同じ答えに、合歓は更に分からなくなり首を傾げた。



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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます! (2020年5月23日 21時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね!私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年5月23日 16時

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