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大切な人 ページ29




『なんでそう思ったの?』

「…お兄ちゃん、危ない仕事してるから巻き込んじゃいけないって思って友達いないんだよ。
それに家に連れてきたから、大切な人なのかなって」









合歓の言葉に納得する。
確かに左馬刻ならばその様な考え方をするだろう、と。









「お姉ちゃんは、お兄ちゃんのお友達?」

『…』









その質問に、夜空は一瞬戸惑う。
けれど、この答えはずっと前から決まっていた。
そしてこれからも変わらない。









『___ううん、違うよ。
ただの《知り合い》』









微かな笑みで放たれたその言葉に、合歓は小さく肩を揺らした。
それは、夜空の言葉の所為である。
まるで、機械の発するような無機質な声で放たれた《知り合い》という言葉に、合歓は幼いからこそ分かる《第六感》というもので恐怖を感じたのだ。








「…お兄ちゃんは、知り合いは家に呼ばないと思うよ?」

『確かにそうかもしれないけどね。
合歓ちゃんも、大きくなったらきっと分かるよ』









簡単なようで難しい言葉。
首を傾げる合歓に夜空は一度撫でてから、部屋を後にした。






*−−−*







『___シロ君』

「おう、ソラ。
終わったのか?」









左馬刻の言葉に一度頷く。
あれから合歓と少し談笑をしながら体を拭いてあげたり、ご飯を食べさせてあげたりしていた。
そして疲れたのか寝てしまった合歓。
夜空はその愛らしい寝顔を少し眺めてから、リビングでソファに座っていた左馬刻に話しかけた。








「…そういや、ソラからは弟の話きかねぇな」

『そうだっけ』

「いっつも俺様が合歓の話ししてても、テメエ黙って聞いてるだけだろ」









思い出してみるが、あれは別に聞いているだけなわけではない。
ただ、左馬刻の妹愛が止まらない為、会話を黙って聞くしか選択肢がないのだ。
まあ、夜空はあまり弟達と話すことはない。
あまり兄弟の話を人としたいとも思わない。









『…私、弟達と仲悪いの』

「あ?
…でも、テメエは弟のこと大好きだって」

『確かに、弟は大好きだよ。
私の中で一番大事。
…けど、それとは違う』









左手の傷を親指でなぞる。
左馬刻はその仕草を見てから、不味いことを聞いたな、と罪悪感が湧いて来た。









『弟達は仲が良いの。
でも、私はちょっと誤解されちゃって』









らしくもなく、弱々しく笑ってみせる夜空に。
左馬刻は彼女の顔を掴み、己の顔を近づけた。


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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます! (2020年5月23日 21時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね!私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年5月23日 16時

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