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白髪のヤクザ ページ19




この一ヶ月でだいぶ聴きなれてしまった声が路地裏に響く。
こんなにタイミングよく来てくれるはずがない、と信じられない反面、もしかしたら、と強く期待してしまう。
震える腕で上半身を無理矢理持ち上げて目に入ったのは、白髪の彼。








『…シロ君』

「ソラ、テメエ何やってんだよ」









細められた目は不機嫌だからか。
嬉しいと言う気持ちが胸中を満たすが、同時に罪悪感が込み上げる。
こんなところに巻き込んでしまったのだ、いくら左馬刻でも危ないかもしれない。

それを顕現化させようと、パイプを持った一人の男が殴りかかって行く。
夜空は危ない、と叫ぼうとするが、うまく声が出ない。
だが心配は杞憂だったようで、左馬刻は次々と殴りかかってくる男達を倒していった。








「女を人数で叩くような奴に負ける程、弱かねぇよ。
…帰んぞ、ソラ」

『え、あ、シロ君』









ぐいと腕を引っ張って持ち上げられ、然しバランスを取れずに寄りかかってしまう。
左馬刻はそれを見て息を吐いた後、夜空を軽々と持ち上げた。







『!』

「…横抱きだと背中怪我してんだったら響くだろ?
これで我慢しろや」









縦抱きで堂々と街中を移動して行く左馬刻。
これには流石に夜空も羞恥を覚え、微かに抵抗を見せる。
だが左馬刻が「静かにしろや」と言って、背中を押してきたところで悶絶し黙りこんだ。


数分して付いたのは池袋の公園。
これまた人気がないが、左馬刻がいるので大丈夫だろう。
夜空は左馬刻にベンチに降ろされたところで、ずっと気になっていたことを聞いた。








『シロ君、何で池袋に居たの?』

「あ?
…テメエが横浜来なかったから、どうせ昨日のことで怒ってんだろうと思ってよ」

『…仲直り?』

「うるせ」









両頬を片手で掴まれ強制的に騙される。
少しだけ耳を染めて頰を背ける彼に、夜空は微かに微笑んだ。








『でも、よく分かったね。
池袋は初めてでしょ?』

「初めてじゃねぇよ、仕事で何回か行った。
…それと、場所の推測の仕方はテメエが散々俺様に教えて来ただろぉが」









そこまで言われて、「嗚呼」と納得する。
そう言えばそうだ。
最初の頃、左馬刻がどこに居ても必ず場所を当ててきた夜空は、左馬刻に毎回その方法を教えていた。
恐らく左馬刻はコネとその知識を使って夜空の居場所を見つけてくれたのだろう。









『…シロ君』

「あ?」

『ありがと』

「…おう」



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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます! (2020年5月23日 21時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね!私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年5月23日 16時

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