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ありもしない噂 ページ17




翌日、昨日の左馬刻の悪質な悪戯に腹を立てた夜空は、珍しく学校へと向かっていた。
学校は好きではないが、今日は絶対に左馬刻に会いたくない。
それほどに怒っているのだ。
あの時の指先を舐められた感触を思い出すだけで鳥肌が立つ。








『…だから嫌いなんだ』









夜空は兎に角犬が嫌いだった。
あの飼い主に対する忠誠心で矢鱈と吠えてくるのも嫌いだし、盗みを働いていると目敏く見つけて追いかけてくるのも嫌いだ。
…とまあ、殆ど職業のせいで嫌いになっているわけだが。
取り敢えず、犬は無理だった。




七時半、学校に到着し、暫く行っていなかったので席が変わっていないか教卓に行って確認する。
幸いまだ誰も来ておらず、夜空は静かな教室で一人 席に着いた。
机の中に入っているプリントを全て引っ張り出し、ファイルに閉じる。


特にすることもなく、今度会って欲しいと言われている金融店のオーナーの予めまとめておいた情報を確認する。
少しして音を立て教室の扉が開いた。
チラと視線を向ければ、此方を見て固まる男女数名の姿が。
夜空が黙って資料をしまい始めると、彼らはボソボソと何か呟きながら其々の席に着いた。







「おい、山田さん来てるぞ」
「なんでだろうな」
「ねえ、また援交したって噂立ってるよ」
「まじで?」
「まあでも、顔はいいもんな」
「どうせ、成績も先生とかに色目使ってるんでしょ」
「うわ、引くわ」








聞こえてしまう自分の陰口に、夜空は視線を落とし机に顔を伏せる。
援交なんてするわけない、テストの結果も自分でちゃんとやった結果だ。
なんて、次々と脳内に言葉は浮かんでくるが言い返す気にはならず、ただ黙って汚い言葉を受け止める。


いつの間にか意識は落ちていたようで、顔を上げた時に目に入ったのは中肉中背の担任が教室に入ってくる様子だった。
それと同時に鐘が鳴り、夜空は欠伸を噛み殺して背を伸ばす。
授業は屋上でサボろうかな、と適当に考え、HR終了と同時に鞄を取って席を立った。



昼時の乱闘→←泥棒の犬嫌い



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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます! (2020年5月23日 21時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね!私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい! (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年5月23日 16時

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