お節介な人 ページ13
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眠った少女の膝に手を通し、肩を抱く。
横抱きにした状態で軽い彼女の体を持ち上げ、寝室に下ろした。
そして再び居間に戻り、食堂に足を運ぶ。
がらん、とした雰囲気のそこには机の隅の方に茶碗と汁椀が置かれており、隣接する台所には炊飯器と鍋が置かれている。
そして申し訳程度に置かれた漬物を見て、夜空は溜息をついた。
『…要らないって言ったのに』
恐らくこの食事を用意したのは園長だろう。
毎度遅くなるから要らないと言っても、成長期の君には必要だ、と言って少ないが食事を用意してくれる。
世話焼きだな、と思いつつも、微かに嬉しく思い米と味噌汁をよそって一人で夕飯を食べた。
良くならない経営状況、そして毎晩何処かに出掛けている園長。
仕事を増やすべきなのか。
だが、これ以上盗みの仕事を増やすのは捕まる危険もある。
それに泥棒と両立して他の仕事をやるには、その職場に迷惑がかかってしまう。
もう少し報酬を弾んでくれる様にお願いするか、と夜空は一人でに頷き、食べ終わった茶碗を片付けた。
＊−−−＊
『…六時』
起床し、辺りを見回せば散乱する子供達の玩具。
嗚呼、そういえば昨日はソファで寝たんだ、と思い出して洗面所に向かった。
顔を洗い、朝食を食べ、出かける為に玄関へ向かう。
適当に髪を整えて扉に手をかければ、背後から声がかけられた。
「…もう行くのかよ」
『…一郎』
赤と緑のオッドアイが特徴的な少年、一郎がまだ眠そうな目で立っていた。
奥からこちらに気付いたのか園長が顔を出して、近づいてくる。
「嗚呼、良かった、夜空ちゃん。
昨日は随分遅かったみたいだけど、君は女の子なんだからもう少し早く帰って来ないと駄目だよ？」
『…ごめんなさい』
「怒ってるわけじゃないさ。
気を付けてね」
『うん、今日も夕飯は要らないよ』
「わかったよ。
あと、そろそろ学校にも言ったほうがいいんじゃないかい？」
園長に言われ、チラと視線を落とす。
一郎が園長の横で此方を睨むようにして見ていた。
『…明後日は行く』
「そうかい。
ほら、一郎くんも」
「…」
『良いよ、先生。
…行ってきます』
バタン、と音を立てて扉を閉じる。
ガラス越しに一郎の視線が背中を刺してくる様に思えて、いつもよりも早歩きで園の敷地を出た。
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Cynic** - 豪炎寺修也推しさん» コメントありがとうございます。この作品も見にきてくださったんですね、とても嬉しいです。ご期待に添えられる様に頑張ります、応援ありがとうございます！ (2020年5月23日 21時) (
レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - こんばんは、毎度毎度すみません…。もう文字のフォントが素敵ですね！私の最推しの左馬刻の物語なので、楽しみに読ませていただきます。更新頑張って下さい！ (2020年5月23日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Cynic** | 作成日時：2020年5月23日 16時
