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終幕 ページ46

________








『____ねえ、無惨!
こっち来て!』







様々な色の花が咲き乱れる花畑で、美しく笑う女性がいた。

無惨は、微かに頰を緩ませ彼女の元に歩み寄る。

誰もが見惚れるような容姿の彼女の名前は緋雪。

白と赤で完成された美に、すれ違う人々は見惚れる。

そして、幸せそうに笑う彼女に人々は幸福を感じるのだった。







『無惨、あの花見て』








「………彼岸花か?」








『そう、私あの花大好きなの』








緋雪の白い指の先にある彼岸花。

風に揺れて赤い花弁を揺らすその花は、彼女の瞳と同じ色だった。









『情熱、再会、転生、悲しい思い出、また会う日を楽しみに。
………彼岸花の、花言葉』








「悲しい花言葉ばかりだな。
こんな花が好きなのか?」








悪い印象を与える花言葉に無惨は眉を寄せ、愛おしそうに花を見つめる緋雪に問う。

すると緋雪は愛らしく頰を膨らませ、「こら」と前置きして続けた。








『こんな花、なんて言わないで。
私の大好きな花なんだから。
………それにね、もう一つ彼岸花には花言葉があるのよ』









「なんだ」









天真爛漫を具現化すれば、彼女のような愛らしい女性になるのだろう。

無惨はひたすら愛おしい彼女の銀鈴の声音に耳を傾ける。

緋雪はにこりと愛らしく無惨に笑んでから、己の白く細い指を無惨の指に絡ませた。

そして無惨に顔を寄せ、そっと熱い想いを重ねてから言う。









『____思うは貴方一人。

無惨、ずっとずーっと、大好き』









無惨は笑う彼女に顔を綻ばせ、今度は自分から彼女の唇に己の唇を重ねる。

そして、誰にも聞かせることのないような、唯々愛おしいものだけに向ける声で応えた。









「私も、お前を愛してる」









『ふふ、ありがとう、無惨』









二人、鬼の始祖と上弦の零であった彼等は手を取り合って歩き出す。

その姿を咎める者は誰もいない。

これが、零であった緋翠が求めた世界。

緋翠が人となって___緋雪となって、無惨の横に並び陽の下を歩ける世界。

彼女が求めた世界で、緋雪はただ幸せそうに笑うのだった。









〜END〜

後書→←愛してる



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Cynic** - 覇戮さん» コメントありがとうございます。返信滅茶苦茶遅れてしまってすみません…ずっと書きたくて、書いてる時も楽しかった私も大好きな作品です。殆ど自己満足に近かったのに、沢山の方に読んで頂き評価をもらえて私もとても嬉しいです。温かいお言葉ありがとうございます! (2020年7月3日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
覇戮 - 完結おめでとうございます。とても良い作品で涙が出てきました。応援してます! (2020年5月20日 14時) (レス) id: 193145533a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年2月16日 15時

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