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〜吉良〜
わたしにとって15年前のあの日は、運命の分かれ道とでも呼ぼうか
どうしても、とある手が欲しくなり、殺してでも手に入れたい衝動に駆られた
いざ、家の前に行くと、足が重くなり進めなくなった
見えない何かが耳元で囁いた
殺すな、と。何度も
15年
好みの手を見つけては物にしたかったが我慢させられた
もし15年前、存在さえ知らなかったAに恋焦がれ、Aのために殺人鬼にならなかったのだとしたら、それはもう愛以外の何者でもない
人を殺すようになったのは最近で、Aに群がろうとする害虫の駆除だから問題はないはず
死体も出てこない
美しいAの生脚を世の男共に見せたくはないが、泣かせてしまった以上、このまま行くしかない
言い寄られないようにわたしのモノだとしっかりアピールしなければ
腰に手を回せば変に意識させてしまう
吉良「Aはどこ行きたい?」
デートとは言ったがノープラン
わたしはAがいてくれるなら、どこでもいい
吉良「ああ、でも。Aの物を買わないといけないから買い物デートになるね」
「私の、物……?」
吉良「そうだよ。一緒に暮らすんだから必要だろ」
晴れて付き合うことになったのに、別々に暮らすなんてありえない
クソッタレの仗助達がまだAを好きかもしれないんだ
なるべく目の届くとこにいて欲しい
大荷物になることが予想されるため移動は車
デパートなら一通り全て揃うだろ
雑貨や衣類はすぐに買えたが下着だけは難航した
わたしのカードで払うわけだから、当然ながらわたしも同行するわけだが
ものすごく泣きそうな顔で嫌がられる
それがまた、わたしの心を揺さぶるからいじめたくなる
吉良「わたしのことを名前で呼ぶなら現金を渡してあげるよ」
「よ、よし…かげ、さん」
これはまた……
高ぶった気持ちを鎮めるようにキスをすれば、周りがザワっとした
いつもより少し長めのキスに驚きながらも突き飛ばそうとはしない
吉良「ここで待ってるから行っておいで」
今の反応を見る限り、Aはちゃんとわたしが好きそうだ
となると、無理やり関係を持ったことがAの中で大きな壁となっているのか
本気度は伝わっているはずだが、このままではダメだ
ほんの一部でもAの心がわたしを拒絶するなんて、あってはならない
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作者名:まゆ | 作成日時:2023年7月20日 23時