32.予想外。 ページ32
「え?なに?」と、潤さんが私に聞き返して来る。
「あ...旬さんから聞いてないですか...?」
昨日の今日だから、まだ知らないのかもしれない。
「来年からの為にリサーチしに行くってやつ?」
あれ、知ってた。
「みぞれが案内するんだろ?」
詳細まで知ってた。
「そんな大人数でゾロゾロ行かなくても良いかなーって思うんだけど。旬と斗真ならちゃんと見て来てくれるし」
「えっ...!でもっ!自分の目で見て体験するのとは全然違うと思いますよ!?」
「そーかー?祭なんて、どこも似たような感じじゃね?」
「...花火!花火あるし!」
「花火ならここからも少し見えるよ」とマスターが余計な事を言う。
そんな援護射撃いらないから!
「でも...でも!少しどころかめちゃめちゃ綺麗に花火が見える穴場も私なら知ってますよ!」
「あー、その情報は欲しいな」
「でしょ!」
「是非、旬たちに教えてやってよ」
けんもほろろ...。
潤さん、全然一緒に行く気無い...。
「お祭...嫌いなんですか?」
「お祭ってゆーか、人混みがあんまり好きじゃない」
「...人は多いけど...」
「暑いしなー!」なんて笑いながらまたマスターが余計な事を言って、潤さんの前にナポリタンを置いた。
今日に限ってはマスターが恨めしい...。
潤さんはもうお祭の話にも興味無い感じで、「いただきまーす」と手を合わせてフォークを手にした。
「Aちゃん!」
半ベソになりながら氷をつついてた時だった。
勢いよくお店に入って来たのは、こないだお土産を持ってきてくれたお父さんの会社のおばちゃん渡辺さん。
「ここに居たのね!探したんだから!」
「何かあったの?」
渡辺さんが目の前まで来て、私の両肩を掴む。
ちょっと痛い。
「落ち着いて聞いてね」
「うん」
「さっき連絡が来て...社長がね、事故にあったって...」
「え?」
お父さんが...?
「それで病院に運ばれたらしいの」
「どこ?どこの病院!?」
おばちゃんが病院名の書いてあるメモを私に渡す。
ここから離れた場所にある病院だ。
「どうしよう...あ、タクシー...」
タクシーを呼ぶ為に電話をしようとしたら、手が震えてたらしくカウンターにスマホが落ちる。
それを拾おうとしたら、横から潤さんが私の手を押さえた。
「行くよ」
「...え?」
「俺が送る」
「...え...あの...」
「ほら、急げ」
押さえられてた手を今度はギュッと握られ、私は潤さんに引っ張られるようにして店を出た。
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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時:2018年8月11日 13時