シャングリラエッジ【ars J.M】

13.お仕事。 ページ13

「あの一角だけは、そう見えます」

そこは周りの視線を遮る事も出来るようになってるのか、仕切りになりそうなパーテーションも横に置いてある。

「澪さんって、美容院だったんですか？」
「美容院でもある、って言うのが正しいかも」
「...でもある？」

モデル事務所じゃなかったっぽい。
でも、何の会社なのかまだ全然分からない。


「沖縄に遊びに来る旅行者さんの思い出作りを手伝う会社、って感じかな？ザックリ言えば」

生田さんが説明してくれる。

「例えば、何か記念日だからドレスアップして素敵なレストランでお食事したい！とかってゆー依頼があれば全部お手伝いしてあげる」
「レストランの予約だけじゃなくて？」
「ドレスアップも、お手伝いするよ。旬がヘアメイク出来るから」

え！と小栗さんを見ると「俺、美容師さん」と自分を指さした。

「他にもまぁベタだけど、沖縄の綺麗な海が見たいって言われたら穴場ポイントまで俺が連れてってあげる」
「生田さんが？」
「他にも体動かす系の事なら何でもお手伝いできるよ！ダイビングもライセンス持ってるし」

なるほど。
アウトドアなアクティビティと、インドアなイベントのどちらにも対応してくれるって訳か。


「『遊びの何でも屋さん』って感じかなー」
「楽しそうな肩書きですね！」
「まだぜーんぜんお客さん来ないから、楽しいとも言ってられないけど」

「早く軌道に乗りたいー！」と、生田さんはハァーと大きく息を吐き出してソファに頭を預けた。


「あの...」

小栗さんが「ん？」と応える。

「松本さんはどんな事を？」
「あー、潤はうちで予約とかする為のアプリを作ってくれてる」
「アプリを？」
「そう。潤、SEだから。凄いよね」

SE...！
ヤバい職業来た！めちゃめちゃ都会的な職業来た！
どうする！？更に身分不相応な恋をしてる感が強まってきたけど！？


「単純なアプリだから、PC使える奴なら誰でも作れるわ」

つまらない事のように松本さんが言った。
アプリを誰でも作れるとは思えないけど...。

「俺は社長という名の雑用係。経理もするし営業もする、休み無しでクッタクタ。この数ヶ月で5歳は老けた」

ソファの2人がゲラゲラ笑ってる。


小栗さんが「Aちゃん、俺達何の仕事だと思ってた？」言うと、生田さんが「ホストとか言わないでよ？」って笑う。

「モデル事務所かなぁ…と思ってました」

チラッと松本さんを見ると、苦笑いするように「モデルねぇ…」と呟いていた。

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