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64話 ページ16

微かに聞こえた誰かの声に、一瞬首を傾げたけど今は此方に集中しなきゃならない。アタシの息が持つ範囲で取り敢えず調べ尽くさないと…
ゴーグル越しに見える水中の景色は全然見えない、というわけではないけど…見えずらくて仕方がない。

池の中は其処迄深いというわけではなく、少し潜れば池の底は見えた。
(苔やら水草やらの大群……コレといった手がかりやヒントは無さそうだが……ん?)

その中に一つ、気づきずらい様な違和感があった。他の部分は比較的平坦そうだが、その一点だけこんもりと土が盛られている状態…

息はもう少しだけ持つし、そこに近づいて掘ってみるけど…結構多く盛られているらしい、何か出てくるような気配はなかった。


(ッ〜…も、これ以上は息が持たない…)
「ぷはっ…ッ…げほ、ン…ンぐ…」
「Aっ」


元々入った場所の反対側で顔を出しては、スタンバってくれていたのだろう日本号が大きめのバスタオルを持ってきてくれていた。そっとバスタオルを差し出してくれる日本号に小さく首をふって調査続行の意を示すけど

「お前さんにお客なンだ。一旦上がってくれ」
「もー課長っ!私が止めたのに無視して池の中に入っちゃってーッ!」
「お客はお前か……っくしゅ」


耳の水抜きをしながら池の中からあがれば、日本号がバスタオルで包んでくれた。池から出れば異様に寒い…シャツが肌に張り付いてくしゃみが出てくる。

「課長に言われた事、確り調査して情報を持ってきたんです。そのままデータ転送しちゃうと上にバレちゃうんで。大変だったんですからーッ」
「あァ、怪しまれちゃ上からハッキング入るのか…ありがとうねェ、後日本号にくっつくな、五虎退はどうした」


そう、上層部が内部のスパイだとか、そういうのをはじき出したり炙り出す為に、定期的に内密ハッキングをかましている。アタシ達の課にも、それは勿論あるもので。
嬉しそうにきゃッきゃとはしゃいで日本号にくっつく部下に、少しイラッとしていえば、部下はにんまりと口元を緩ませた。


「ごこきゅんは今この本丸の一期サンの所ですネ!…てか課長嫉妬ですかっ?くっつくなーッて、きゃーッかーわーいー…ご、ゴメンナサイ睨まないで…」
「ッチ…日本号、風呂入る」
「やーんっ怒らないでくださいよォーッ!」

部下には悪い……とも思ってないけど、少し待っててもらって風呂に入ることにした。


「随分と個性の激しい子が来たね…」
「アハハ!亀甲サンも対外ですよネ!」

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病蛟(プロフ) - 勇者の人さん» お褒めの言葉をいただきありがとうございます…自分自身も楽しみ、かつ読者にも楽しんで感動して頂けるような小説をモットーに書いていますので、とてもありがたく思います。体を気にかけていきつつ投稿させていただきますので楽しみにしていてくださると幸いです。 (2021年9月22日 21時) (レス) id: 1220734e66 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - 文章が綺麗でとても読みやすく、読んでいて感情が揺さぶられたりと素晴らしい作品ですね。応援しています、これからも無理しない程度に頑張ってください。 (2021年9月22日 2時) (レス) id: 0ba614db75 (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - もっちーさん» 一期一振に関する誤字を教えていただき有り難う御座います。修正作業に取り掛かります故…これからもこの作品をどうぞよしなに、楽しめるような続きを投稿させていただきます。 (2021年9月11日 22時) (レス) id: 1220734e66 (このIDを非表示/違反報告)
もっちー(プロフ) - はじめまして!続き楽しみに待ってます!!それと一期が一護になってます! (2021年9月11日 19時) (レス) id: 5828451b09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:病蛟 | 作成日時:2021年8月18日 23時

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