シンメってすごい！ ページ9
シンメってすごすぎる。
「…………」
こんなに居心地が悪いの、久しぶりだ。
「…勝利！」
「…無理だよ、僕には！」
聡の小声の訴えに、小声で返す。
チラリと二人で視線を送る先は、部屋の隅と隅。
奥のソファーにふんぞり返る風磨くんと、楽屋のドアの横で壁に背を預けて腕組みする健人くんだった。
風磨くんは眠るように目を閉じているけれど、健人くんは睨むように風磨くんの方を見ている。
二人からはそれぞれ不穏な空気が流れていて、近寄るな話し掛けるなオーラが凄まじい。
正直、風磨くんから発せられるのは珍しくないのだけれど、健人くんからは珍しく、僕と聡は部屋の中央で狼狽えるばかりだった。
「何かの役作りとか…？」
「何かってなんの！」
「わかんないけど！そうだったらいいなって…」
「希望かい！」
ツッコミながらも、言いたい気持ちはよくわかった。
年上組の、不穏な空気。
最近、普通に会話するようになっていたし、昔でもこんな険悪ムードは数えるほどしかなかった。
ってゆーか、本当に、健人くんが珍しい。
怒ったりとか、不機嫌さを表に出したりとか、そーゆーのをしない人だから。
楽屋に入ってきたときだって、普通だった。
おはよ、って笑って、僕たちと他愛ない話をしてたくらい。
それなのに、時間ギリギリにやってきた風磨くんを見るなり、ぽかんとしたあと、眉根を寄せて。
僕たちと話すのをやめて、着替えてメーク済ませて、ってしているうちにどんどん表情が険しくなって、現在に至ったように感じる。
聞きたい。
でも、怒ってるのか、不機嫌なのか、はたまた違う理由なのか。
わからなすぎて、恐すぎて無理だった。
なんでシンメは不穏な空気を醸し出すときが一緒なんだ。
こういうとき、マリウスがいてくれたら聞いてくれるかもしれないけれど…
マリウスは空気は読めないけど、心が優しくて、繊細だからなぁ。
こういうところに突っ込ませるのは気が引けたし、あいにくと試験勉強のため今日は特別に別室で過ごしている。
学生って大変だよね…
って、話が逸れた。
そんなわけで、僕と聡の二人で肩を寄せ合って様子を窺っているわけなんだけど。
「もうそろそろ、呼ばれるんじゃない…？」
「こんな空気恐いのやだよ〜…」
「じゃあ聡がなんとかしろよ！」
「オレには無理だよ！」
そんなの、僕だって無理だよ！
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水城（ミズシロ）(プロフ) - あふいさん» コメントありがとうございます。最近更新できていませんが、続きができたときはよろしくお願いします。 (2021年10月18日 19時) (
レス) id: 5d8211fb4f (このIDを非表示/違反報告)
あふい - 面白いです❗ (2021年10月18日 16時) (レス) @page14 id: 3848730b13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水城（ミズシロ） | 作成日時：2021年3月7日 23時
