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はー、と息を吐く。
テレビから流れている音を、聞き流して。
こたつに入り直す。
時計を見ると、日付が変わるまでもう10分を切っていた。
「みやっちー」
顔を上げると、さっぱりしたのか、笑顔でたまがパタパタと駆けてきた。
オレの向かいに「さみーさみー」と騒ぎながらこたつに入ってくる。
「目、覚めた?」
「覚めたー。向こう、すんごい寒いんだもん」
そりゃあねぇ…
こたつ以外、暖房使っているワケでもなし。
閉め切りの室内ならまだしも、部屋の外は寒かっただろうと思う。
「って、たま、足当たってる!痛い!」
「狭いんだからしょーがないだろー!」
「そうだけどー…」
たまが深くこたつに入ろうとすると、小さなこたつでは中で足がぶつかってしまう。
狭いからしょうがないと言ってるけど、絶対わざとだ。
たま、ニヤッとしたもん。
目が覚めたならなによりだけどさぁ…
と、たまはちらりと時計を見て時間を確認した。
「もうじき?」
「だね。もう5分切ったよ」
テレビでも、カウントダウンが始まろうとしていた。
「まじか。危なかったー」
「ふふ。寝ててもよかったのに」
「…みやっちと年越しするために来てもらったんだから、寝たら意味ないじゃん」
「そっか。起きてくれてありがと」
「…んーん。あ、紅白終わった?」
「ん、終わったよ」
「今年ぜんぜん見なかったわ〜」
「録画、してるんじゃない?」
「んー…まあ、いいや」
他愛無い話で時間が過ぎていく。
2人で年越しの瞬間を迎えられるのが嬉しい。
なにより、目の前のたまがかわいいし。
幸せだ。
「たまー」
「んー?」
「手ぇ貸して?」
「手?いいけど…」
「あ、違う違う。こたつの中で、貸して?」
「中…?」
たまがこたつの中に入れていた右手を出してきたので止める。
意味がわからなそうなたまに、背中を丸めるとこたつの中で手を伸ばした。
小さいこたつの中で、たまの左手を探り当てると、きゅっと握る。
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水城(ミズシロ)(プロフ) - ののさん» コメントありがとうございます。宮玉いいですよね!ペースはゆっくりですが、また宮玉を書いたときはよろしくお願いします。 (2021年5月28日 0時) (レス) id: a6284d663f (このIDを非表示/違反報告)
のの - すごい!宮玉見たかったから最高でした! (2021年5月27日 22時) (レス) id: f66df2d363 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水城(ミズシロ) | 作成日時:2021年1月1日 1時