百五十振り ページ32
そのこんのすけの言葉に、思わず顔を顰めた。
「自ら望まずに力を得たって、それは意味が無い事だよ。私が命じて行く?そんな馬鹿な。強くなりたい、そう願って初めて強くなれるんだ。……こんのすけ、その発言は、皆に失礼だ」
私の言葉に、目を丸くするこんのすけ。
「…失礼しました。軽率な発言、お許し下さい」
「分かってくれればそれで良いんだよ」
私は笑った。
こんのすけは「はい」と返すと、ベッドから飛び降りた。
「帰るの?」
「はい。言うべき事は言いましたので。それに、もうそろそろ、審神者様の御両親が此処に来られます」
「えっ、来るの?」
「はい。私が居たら邪魔になるでしょう」
とてとてとドアへと向かい、直前でこんのすけは振り向いた。
「審神者様」
「何?」
「審神者を辞めるなどと、言いませんよね」
「?勿論」
こんのすけの発言の意図を考える。
『審神者を辞める』と、私は寝言で言っていたのだろうか。
それにしては、些か可笑しい。それならば、
『審神者を辞めるなんて許さない』とかなんとか言うだろう。
「では、私はこれで」
「うん。本丸の事、よろしくね」
「えぇ、心得ていますとも」
こんのすけの姿がドアに隠れる。
一人残され、少し考え、理解した。
父さんと母さんか。
危うく娘が死にかけたとあれば、健全な親であれば血相変えて反対するだろう。
けれど、私の両親が、そんな事、口にするとは思えない。
だって、どうせ、私なんて、
「…私、なんて……」
言葉にするには恐ろしくて、ぎゅっと唇を噛み締めた。
フォンッ。
突然の機械の起動音に肩を飛び上がらせると、目の前のテレビに電源が入っていた。
堀川さん、ご両親が来られました。
お部屋にお連れしてもよろしいですか?
来室に確認を取るのか、とどうでも良い事に驚く。
今まで確認を取らなかったのに。
「はい。大丈夫です」
分かりました。
それではお連れしますね。
…あと、言い訳に聞こえるかもしれませんが、山姥切さん達の場合、確認を取る暇もなく走っていかれたので。
「…木本さん、もしかして超能力者ですか?私の思考読んでませんか?」
はは、まさか。
そんな事しませんよ。
では。
ブツッ、とテレビの電源が切られる。
絶対に思考読んでただろう、木本さん。
などと思いながら両親を待っていると、不意にドアがノックされた。
「堀川さん、木本です。ご両親が面会に来られました」
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います!良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです!!私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います!! (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います!占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです!もうとてつもなく長く書きたいとおもいます!!! (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです! いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです!これからも応援してます! (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます!!!そう言って頂けてとっても嬉しいです!!!!!!もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´;ω;`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい!!!本当にありがとうございます!!!! (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナガミ | 作成日時:2018年4月4日 21時