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百四十八振り ページ30

「主さん、大丈夫か?」
愛染が声を掛けてくれた。
そこではっとする。
「う、うん。大丈夫………って、あれ?」
脚に上手く力が入らず、立つ事が出来ない。
俗に言う、腰が抜けたのだ。
「…ごめん、立てないや」
「ベッドまで運ぼうか…?」
小夜に問われ、首を横に振る。
「良いよ、このままで。そのうち立てる様になったら移動するから」
「そう」
「ありがとう、小夜」
小夜の頭を撫でる。小夜は照れた様に視線を逸らした。
その横で、
「おい、乱」
「なぁに?愛染」
「……」
何故か、愛染が乱を睨んでいた。
状況が察せずに言葉を考えていると、
「何で言ったんだよ。見守るって約束しただろ?」
愛染の言葉で、理解した。
__先程の、乱が言った言葉についてだ。
私と山姥切が好き合っているっていう__そこまで考えて、一気に頬が熱を持った。
有り得ない。有り得ない。有り得ない。有り得ない。
何度そう言っても、山姥切の表情が頭を過る。
期待に表情が崩れてしまう。
そこでふと、疑問が浮かんだ。
『皆、知っているから』
乱はそう言っていた。
『見守るって約束しただろ』
愛染がこう呟いた。
「…というか、皆、知っていたの?私が……やま…を、好きだって」
「うん。知ってたよ」
間髪入れずに乱が答えた。
「ばればれだったぜ」
「うん。僕にも分かる程に」
「嘘だ…………」
思わず頭を抱えた。
悟られない様に、気付かれない様に、と細心の注意を払っていた筈なのに。
「…『見守る』っていうのは…?」
「二人共、も〜、呆れちゃうくらいに鈍感だから後押ししたかったんだけど、皆でやらない、って決めたの。だって、第三者(ぼくたち)が横槍を入れるのは、良くないって思ったから」
乱は盛大に溜め息を吐いた。
にしては、さっき凄い剣幕で私と山姥切が__っ、ていうのを言っていたけれど。
「…さっきのは……?」
私の問いに、乱がすっと目を細めた。それから、窓の外に目を移す。
「…僕、この一件で思ったんだ。刀剣男士(やまんばぎりさん)は何時折れたって可笑しくないし、(あるじさん)だって何時死んだって普通なんだって。次の出陣で山姥切さんは折れるかもしれない。今、この瞬間に時間遡行軍が此処に攻め入ってきて主さんは殺されちゃうかもしれない」
「……」
否定出来ないのが悔しい。心底そう思った。
審神者となれど、私は所詮人並み__いや、人並み以下の存在なのだから。

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設定タグ:刀剣乱舞 , 山姥切国広 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います!良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです!!私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います!! (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います!占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです!もうとてつもなく長く書きたいとおもいます!!! (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです! いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです!これからも応援してます! (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます!!!そう言って頂けてとっても嬉しいです!!!!!!もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´;ω;`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい!!!本当にありがとうございます!!!! (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナガミ | 作成日時:2018年4月4日 21時

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