百四十五振り ページ26
「ごめんなさい…ごめんなさい。勝手に合戦場に行って………っ。私を…ううん、私のっせいで、怪我を負わせてしまって……」
泣いていて、言葉になっている気は全くしない。
それでも、どうしても、伝えないと。
山姥切は一瞬固まると、
「……皆から聞いている。反省出来ているなら、それで良……」
「っ…あとっ……！」
顔を上げ、山姥切の目を見つめる。
真っ直ぐと。
「私を……守ってくれてっ、本当に…本当にっ……ありがとうっ！！」
私を見つめる目が見開かれる。
暫くしてから山姥切は目を細めて、小さな、小さな声で、
「……あぁ。どういたしまして」
初めて、その言葉を口にした。
言い表す事の出来ない嬉しさが胸を埋めていく。
『どういたしまして』
その、たった一言で、私はこんなにも心を震わせる。
私、やっぱり、山姥切の事が、大好きだ。
伝えたい事を伝え、心が軽くなる。
暫く泣き、もうそろそろ涙も枯れてきた頃。
不意に不安が頭を擡げてきた。
山姥切は私の事なんて許していないだろう、と。
「……」
そうだ。その筈だ。だって私は、山姥切を危うく寝たきりにさせる所だったのだから。
あんな謝罪で、許される筈がない。
＿＿そうだ。私が自傷をした理由は、これだったじゃないか。
「ねぇ…山姥切」
「何だ」
「何をして欲しい？」
「…随分、唐突だが」
意図が汲めない。山姥切の表情は疑問に満ちていた。
つい、視線を逸らしてしまう。
「私のせいで、山姥切は怪我をした。だから…せめてもの償いをしたくて。何が良い？何でもするよ。何か欲しい物があるなら買うし、戦闘をしたくないと言うなら部隊から外す。本丸を改修したいなら山姥切の思う通りにするし、私が嫌いなら別本丸に移動する事も出来る」
「ちょっと待てA。誰もそんな事……」
その言葉を遮って。
「山姥切が望むなら！…私、死ぬ事だって厭わないよ」
途端に山姥切の雰囲気が変わる。
鋭い目付きで私を見つめた。
「…本気でそんな事を思っているのか？あんた。『俺』が、『A』に、『死』を望むと？」
一瞬息が詰まった。
怒っていると、伝わってきた。
あぁ＿＿どうやらこれは、言葉を間違えたらしい。
「…思ってない…とは、言い切れない」
「何故？俺は信頼されていないのか？」
「違うっ！！」
心の底から叫んだ。
誰よりも信頼している。信じているし、頼りにしている。
「だけど…でも……」
「何だ」
「…それとこれとは、話が、違うの……」
声を絞り出し、恐る恐る呟いた。
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います！良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです！！私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います！！ (2018年9月16日 0時) (
レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います！占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです！もうとてつもなく長く書きたいとおもいます！！！ (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです！ いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです！これからも応援してます！ (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます！！！そう言って頂けてとっても嬉しいです！！！！！！もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´；ω；`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい！！！本当にありがとうございます！！！！ (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2018年4月4日 21時
