effect(クイン・セクトニア) ページ25
*前回の続き
タランザが女王の命令で城を去って数日が経った。女王の臣下たちから彼の噂を聴いているので、彼が今何をしているのかは、だいたい分かる。信憑性はあまり無いが。
「Aさん、セクトニア様にこれを」
「は、はい」
今は3時前。もうすぐ女王のティータイムだ。
彼女が好むお菓子や紅茶などを可愛らしい見た目のポット台に乗せて、彼女の自室の横にある場所に向かう。
「おまたせしました」
「遅い、どういうことだ」
「申し訳ございません」
そこには美しい輝きを放つイスに座った、蜂の女王がいた。
怒りの声色を放つ彼女に向かって、謝罪の意をこめて頭を何度も下げる。その最中に3時を告げる時計の中の小さな劇団と共に、愉快な音楽が流れた。それを聞いた彼女はこちらに鋭い睨みを効かせた。
「早くわらわの前に置かぬか！」
「た、ただいま」
頭を上げて、彼女の前にお菓子やティーセットなどを音を立てないように複数の手を駆使して素早く置く。
数秒して、ポット台の上にあった物は全て、テーブルの上に並べ終わった。
「まあ良い。A、付き合え」
「はい」
女王に指示されたイスに座ったが、彼女が真正面にいるのだ。高まる緊張に、胸が煩いほど鳴る。
「話さないのか」
「何をお話しすればよろしいでしょうか」
「何でもいい」
何を話そうかと考えると、最近新しい美容グッズ店が建っていたことを思い出した。女王の命令で国中を飛び回った時に、見付けた店でもある。
「女王様、最近国に新しい美容店ができたそうです」
「知っておる」
「そう、ですか……」
さすがこの国の女王である。知らないとそれはそれで問題だが。
「お前はタランザと仲が良いな」
「はい、彼とは友好な関係でございます」
「そうか」
短い返事をして、注がれた紅茶が入ったカップを傾けて口を付けた。会話があまり続いていないことに気まずさを感じた。無言がまた始まった。
「昔とは違うと感じたことはないのか」
「はい……？」
「理解できぬか」
「理解しております」
いきなり話を切り出したと思えば、突拍子な発言をした。首を傾げると、彼女は怪訝そうな表情になった。
「そうですね……今も好きですが、時折過去に帰りたくなります」
「……そうか」
今度は目を伏せた。テーブルの上のティーポットの中を見ると少なくなっていたので、それを持ち上げた。
「紅茶が少なくなってきましたので、新しいのを持っていきます」
少し空気が悪くなったので、逃げ出すように部屋を静かに出た。扉を背に立ち、少し目頭が熱くなった。
(だいたい鏡のせい)
ハムスターの料理(アニメ/リック)→←誰かのこと(タランザ)
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アリス - リクエスト答えていただきありがとうございました、とてもいい話でした。これからも無理しない程度に頑張ってください、応援しています！ (2022年8月7日 13時) (
レス) @page46 id: d52c4cdcef (このIDを非表示/違反報告)
さうざん(菜っ葉)(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます、こちらこそ初めまして。感想ありがとうございます、元はいろんなキャラクターを書きたいという気持ちでこの短編集を作りました。アリスさんのご要望に添えた作品があるのであれば何よりです。リクエスト承りました、暫しお待ちください。 (2022年8月6日 23時) (レス) id: 6e309e833c (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 今日始めて見ました！様々なストーリーがあってもっと早く見つけたかったなと思っちゃいました…！リクエストですがあなたのためだと言ったら？の後日談（続き）的なのってお願いできますでしょうか？ご検討よろしくおねがいします。 (2022年8月6日 22時) (レス) id: d52c4cdcef (このIDを非表示/違反報告)
さうざん(菜っ葉)(プロフ) - 梨夢(リム)さん» コメントありがとうございます、自己満足で書き続けていますがリムさんがそのように仰ってくれるのであれば良かったです。和数的にそろそろ終了ですが、それまで自己満足で書き通していきます。 (2022年8月5日 16時) (レス) id: ce406737cf (このIDを非表示/違反報告)
梨夢(リム) - はじめまして！面白すぎです！！最高です！続き待ってます！！ (2022年8月5日 12時) (レス) id: 265c125c54 (このIDを非表示/違反報告)
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