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つられるように弟も私も顔が緩む。
あはは、と3人で笑い合った後、食事の準備をした。
妹の近況を聞きながら食事して、食後に妹が持ってきてくれたお土産のお菓子を3人で食べてると、妹が私を向く。
「そういやさ、百瀬くんって家を出たんでしょ？あんまりテレビで見かけないし、お姉ちゃんも家庭教師以外働いてないから金銭的に支えるの大変じゃない？」
最初ふんふんと聞きながらお茶を口にして、途中でピタッと止まる。
いつかは百瀬くんの事を聞かれるだろうと思っていたけど、こんなに早く聞かれるとは思ってなかった。
申し訳ない気持ちと気まずい気持ちが混ざり合う。
グラスをテーブルに置いて、妹と弟を見比べる。
弟は少しだけ、気まずそうに私を見ていた。
『えっとね･･･百瀬くんとは、別れた･･･』
言い終えた後、少しの沈黙が部屋を覆う。
弟は、やっぱりと言いたげな様子で息を吐き、妹に至っては目を丸くして･･･
「え、なんで！？」
叫ばれた。
「百瀬くんのこと嫌になったの？」
『違うよ。･･･好きだから、別れたの』
「え、意味分かんないんだけど」
妹は眉間に皺を寄せて、遠慮なく嫌そうな顔をする。
『百瀬くんたちを、スキャンダルで潰させたくないの』
「こっそり付き合ってれば良いでしょ？」
『売れていくためには、事務所に黙ってるわけにはいかないんだよ』
「なにそれ･･･っそれで百瀬くんも納得したの？」
妹の手が、ふるふると震えているのに気づく。
怒っているのか、悲しんでいるのか。
妹は、悔しそうに唇を噛んでいて、涙目に見えた。
「妹、2人にしか分かんないもんだし、姉ちゃんだって簡単に別れた訳じゃないと思うしさ･･･」
弟が優しい表情でフォローしてくれた。
やっぱり気づいてたんだろうな、百瀬くんと別れた事。
「うぅ〜･･･」
妹の目から、ぼろぼろと涙が溢れる。
ああ･･･怒られるかなとは思っていたけど、予想以上だ。
泣かれるとまでは思ってなかった。
「姉ちゃん、お風呂入って」
弟に、ここは任せろと言わんばかりに脱衣所の方をクイクイッと指さされて、ごめんねと手を合わせて下着とパジャマを部屋に取りに行く。
もう一度リビングを通る時に聞こえた、好き同士なのに別れるなんておかしいよ、別れて欲しくなかったよ、という妹の泣き声が、寝るときになっても中々耳から離れなかった。
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作者名：miz | 作成日時：2024年2月9日 0時
