【アイナナ】 vale Side百 (ページ2)

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1連の出来事が終わるとハッとして走り進める。

めっちゃいいもん見た。

てかあの制服の人、自分も急いでたはずなのに。

ああいう人好きだな。
また会いたいな。

自然と高鳴る胸の内を少し自覚しながら、学校へ急いだ。

その日の夜も、姉ちゃんのいつもの他愛ない話を聞いた。

めちゃくちゃ頭が良いらしいっていう転校生が来たんだと。
姉ちゃんは嬉しそうに笑いながら、転校生の話を続けた。

「見た目は可愛いのよ。勉強出来るって感じでもなくて。あとちょっと変わってて面白い」
「変わってんの？」
「うん。勉強出来るのに、今週体力測定あることをやけに嫌がってて。それ終わってからこっちに引っ越したかった、ってうなだれてた」
「苦手なのかな？」
「どうなんだろね？」

他にどこが変わってるのかは聞かなかったけど、姉ちゃんがその人を好きだって言うのが充分に伝わる笑顔だった。
そこから興味は持つも、その日の朝に見た人の事が一番気になって仕方なかった。

そのうち、調理実習の失敗、運動が壊滅的だとか、体育祭は可哀想だったとか聞いたりして、その人の情報だけが耳に入ってくる。

「家に遊びに来たりしないの？会ってみたい」
「ええ？だって百、部活あるから早く帰ってこないじゃん」
「そうだけどさ～」
「高校、うち受けるんでしょ？受かったら会えるよ」
「うぅぅ、受かるかな～」

元々姉ちゃんが行ってる学校に興味があった。
でもそれだけでなく、あの日の朝にすれ違った女子のこともあって、姉ちゃんが行ってる高校に進学希望を決めた。

先生に今のままじゃ勉強面は厳しいって言われたんだよな。
塾もサッカーの試合が迫ってる今は行けないし。

「サッカーの試合終わったら部活も終わりでしょ？受験までの間しっかりやればいけるんじゃない？」
「オレの成績見て言ってんの！？じゃあ姉ちゃん勉強教えて！」
「えー？」

姉ちゃんが嫌そうな顔をした。

でも分かんないとこ教えてくれる。
最初は有り難かったんだけど･･･

「なんでこれも分かんないの？公式これじゃん！」
「これ？なんで？」

「だからさ～、ここがこうなって〜分かるでしょ？」
「わかんない」

姉ちゃんが絶句する。すぐ深く溜息をついた。

「この文が～」

シャーペンで参考書に線を引く姉ちゃん。

結構すぐイライラしちゃうんだよな。しょうがないなーって教えてくれるけど。

なんとかしたい。

そう思ってたある日、部活が終わって家に帰ると、思ってもない人がいた。