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「本音か建前かわからない時があるだろ、モモって」
「何、オレが嘘付いてるみたいじゃん!」
「そうは言ってな・・・」
『はいはい、今日はやめてね〜』
やんわり止めると、2人共がむぅと言いたげな表情のまま止まる。
結婚した日なんだからハッピーな気分のままがいい。
すぐに千が立ち上がって、どこに行くのかと思えば冷蔵庫を開けてる。
ああ、千が来て早々何か入れてたな。
百とキョトンとして見合う。
2人でソファを立つと同時に千がキッチンから出てきた。
カウンターにグラスを並べて、手には黒いボトル。腕に下げてるのは同じくらいの高さの四角形の紙袋。
ボトルはワインかな?
「Aも少し飲める?」
『うん?1杯位なら』
私がローテーブルにグラスを置くと、千がボトルを見せてきた。
お酒に詳しくない私でも知ってるそれなりに高級なワイン。
「これめっちゃ美味しいやつじゃん!1回大御所さんに飲ましてもらってから好きな銘柄なんだよね!さっすがユキ!」
百が、わーって笑顔で手に取る。
千が嬉しそうに、ふふと笑った。
「結婚おめでとうのお祝いに、一緒に開けようと思って。あとこっちも・・・」
千が言いながら紙袋を渡してくる。
私が受け取って中から2つの箱の包みを取り出した。
『開けてもいい?』
「もちろん」
ワインというか多分お酒が入ってるんだろうと思うような箱は百が開け、私はそれより一回り大きい箱の包みを、破けないように開ける。
「わ!A!名入れワインだ!日付も入ってる!」
『こっちはグラスのセットだ』
ブランド物。
これで気軽に飲むのは難しそう。
名入れワインは、HappyWeddingの文字と百と私のイニシャルと年月日が彫られていた。
百と2人で千を見ると、優しく微笑んで口を開く。
「喜んでくれて良かった。2人共、結婚おめでとう。これからもよろしく」
百の口端がゆるゆると波打つ。
あ、感動で胸いっぱいの顔だ。
「めちゃくちゃ嬉しいよ!こちらこそだよ!!ユキ超超超超イケメン!!」
うきゃーって目をギュッとして喜ぶ百。
かわいい。
『私も、これからもよろしく。ありがとう』
「ふふ、どういたしまして」
それから百がバシャバシャお祝いの物の写真撮って、ついでに千と百と私もワインと一緒に写真撮って、“ユキからの結婚祝い!!”ってラビッターにアップしていた。
ちょっとだけ不安になる。
さっきも結婚のご報告!って百のラビッターに連名でアップしたし、しつこく思われないかな?
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作者名:miz | 作成日時:2021年11月8日 12時