95 〜百side〜 ページ45
「答えなくていいよ。どっちでもオレのハートが保たないから」
嫌だと言われたらちょっとショックだし、良いと言われたら悶えすぎる。
どっちでも大打撃。
『･･･じゃあ、その時考える』
ポツリと囁くように言ったAの耳は物凄く赤くて、その様子にギュウッと心が締めつけられる。
かわいすぎない！？オレの彼女！！いや、婚約者だった！
テンションがめっちゃ高くなるものの、プロポーズした時のバラが脳裏をよぎると同時に今日Aが、巳波からバラの花束(みんなからで入浴剤だけど！)を受け取った時を思い出して、気分が急降下する。
それによって腕の力が緩んだからか、Aが心配そうな声を出した。
『･･･百？』
「ん？」
顔を上げるとAと目が合う。
やっぱ心配そうな顔。
『なんか心配？』
「何かって？」
『えーと･･･』
Aは、オレが嫉妬してんのは態度に出してたし知ってるはずだけど、巳波の気持ちには気づいてなさそうだよな？
っていうか知らないでいて欲しい。Aが困るだろうししんどくなるだろうし。
大和もユキも天もだもんな。
A、大和振った頃はしんどそうだったってユキも言ってたし。
巳波はどっちにしろ傷ついちゃうのは申し訳ないんだけど。
ぐるぐる思いながらAの返事を待つ。
Aは視線を彷徨わせた後、窺うように目だけ上げて口を開いた。
『百以外から入浴剤とはいえバラの花束もらったこととか･･･』
！！わかってくれてる！！
モモちゃん感動！！
『2週間会えない時期があることとか･･･』
あ。
それもあった。
「バラも会えない時期も、みんなの好意や仕事だってわかってるから大丈夫！」
『本心？』
「本心！」
オレの気持ちを考えてくれてる事が一番嬉しい。
それだけで不安とか不満が和らいでく。
笑顔で答えたオレの表情に、Aがホッとしたように微笑んだ。
「あ、でも1個だけ」
『ん？』
「花束贈呈ん時、やけに巳波と近かったじゃんか。何言われたの？」
あれが一番肝が冷えた。
ぎゃーってなった。
Aがキョトンとして、すぐに思い出したように口を開ける。
『ああ、13本だから安心してって言われたの』
「13本･･･」
『意味なんだったっけ？』
なんだ。
オレカッコ悪いな〜。
Aとオレが付き合ってんのに巳波は引かないって思ってたけど。
ユキたちと同じなんだ。
「永遠の友情って意味だよ」
少し切ない気分になって、Aを抱きしめる腕に力を込めた。
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作者名：miz | 作成日時：2021年7月3日 9時
