94 〜百side〜 ページ44
『いいよー！百入ってもー！』
浴室からAがオレを呼ぶ声が聞こえて、スマホをテーブルに置いた。
やった！
半分ダメ元でお風呂一緒に入ろ？って言ったけど、やっぱダメって言われるかな〜とか視野に入れてたから嬉しい。
しかも今まで片手で数えるほどしかない一緒に入る時、ここまで元気に呼んでくれたことはない。
渋々といった風というか、物凄い恥ずかしがって声が小さい。そこもめっちゃ可愛くて良いんだけど。
元気に呼ばれるのもハッピーだなーってルンルン気分でポイポイ服を脱いで、タオルを腰に巻いて(時々、少し気にして！って怒られるから)ドキドキしながら浴室を開ける。
「･･･え！？」
ソロっと浴槽に目線を向けると、Aが振り返って嬉しそうな笑顔をオレに向けた。
浸かってるだろうと思っていたAが浸かっていることには驚いてない。
その浴槽内。
わんさか泡が浮かんでる。
「バラの入浴剤は！？」
『これだよ。泡風呂もいいね』
「泡風呂･･･」
Aが元気にオレを呼んだのは、体が見えないからか。納得。
浴室のドアを閉めてお風呂の椅子に座った。
「泡風呂って初めてじゃない！？テレビで見たり話には聞くけど」
『子供の頃やったことあるよ私。お母さんが入浴剤好きで、私も遊んでた』
「へえ･･･そういや姉ちゃんも可愛いの持ってたりしたっけなーグッズが出てくるのとか」
『あれも可愛くていいよね。レインボー風呂とかもあるし。泡風呂はね、シャワー当てた方が泡立ち良いんだよ。めっちゃ泡立った』
楽しそうに笑ってるAが、湯の表面と中に手を行き来させてジャブジャブ音を立てる。
手に乗った泡をフッと吹く。
「セレブっぽい！」
『そう？バラの花びらもセレブっぽかったけど』
「わかる！セレブで色気ある人は似合いそう！楽とかバラ、めっちゃ似合わない？」
『うん、めっちゃ似合う。･･･がっくんたちも使ってるかな？』
「かも。でも3人共もらってたから、使いきんのも大変だよね」
『確かに』
頭と体を順に洗いながら会話してクスクス笑い合う。
ジャブンと湯船に足を入れて、Aを後ろから抱きしめた。
「ほんとお湯ん中全然見えないね。でもバラの花びら浮かせたのも見たかったな〜」
『まだたくさんあるから、今度やってみたら？』
「ん？そん時はまた一緒に入ってくれんの？」
Aの体に力が入るのが伝わる。
ギクッとしてんのか、緊張から来んのか。
思わずふっと頬が緩む。
ぎゅっと腕に力を込めた。
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作者名：miz | 作成日時：2021年7月3日 9時
