55 〜百side〜 ページ5
巳波そうですね。Aさん本人は元気ですが、現場は混沌としています
百混沌?ユキが撮影見学に行った時、いい現場だったって言ってたけど?
巳波千さんがいらっしゃった時はスタジオでしたから。普段は程よい緊張感のある、楽しい現場ですよ
すぐに返信が来ることから、こっちから電話することにした。
巳波は、Aの足を狙って竹刀を転がせた人物がいる事を教えてくれる。
つまり、あの内出血は竹刀で出来たもんなんだ。
･･･「おやどうしましょう」
「ん？何？」
･･･「Aさんに口止めされていたのですが･･･良いですよね、百さんとはお付き合いされているわけですし、私もわかりましたとは言えど、黙っていますとは答えていませんし」
「ぅわ〜、いい性格してんね」
･･･「お褒めにあずかり光栄ですよ」
「あはは！面白いね、巳波」
･･･「ふふ、私、ひょうきんな一面がありますので。･･･ところで百さん、一応お聞きしますが、主犯の名前を･･･」
「あー、いいよいいよ、言わなくて。スタジオ以外ってので大体の目星はつくから。あんがとね！お礼はまた別の機会に！」
･･･「お礼は結構ですよ。私が一喝しただけでは解決出来なかった事があるので、解決出来れば充分です」
なんだかんだいい子なんだよな。
了さんと付き合いがあった頃は葛藤してただけで。
元々Aの前世の記憶の“アイドリッシュセブン”のメインアイドルなんだし。
まあだからと言って前のAのように、それだけで無条件に好意や信頼を向けるわけじゃないけど。
でもAが信じてる子たちだし、実際良い子なわけだし。
巳波は恋敵っぽいけど。
お礼を言って電話を切る。
「おかりん、忙しいとこ悪いんだけどさー･･･」
次はAが出てるドラマの、エキストラを請け負ってる所と学生役を輩出してる事務所を捻出してもらう。
程々力のある子の方が人はついていくもんだ。
それが良くも悪くも作用する。
出演者リストに目を通していると、スマホが震える。
巳波から、マツリちゃんという子とAが剣道の練習を2人きりでしてるらしいというラビチャだった。
2人きりって事は、Aの性格からして、陰口や嫌がらせの主犯格の子とタイマンか、ただ仲良くなったか。
「どう？絞れそう？」
ユキの問いにオレの考えを口にする。
「ありえる」
「ありえそうですね･･･」
ユキとおかりんが、同時に冷や汗をかいたように見えた。
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作者名：miz | 作成日時：2021年7月3日 9時
