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でも百なら、私相手じゃなくて瑠璃さん相手なら、キチンとどこがどうとか言いそう。
家族なだけあって遠慮がない。でも仲良いし、姉弟って羨ましい。
そういや前に会った時よりも敬語が多くて一歩下がってる印象があるのは、百がいないからかな?
前は百が一緒にいたもんね。
私は久々すぎて、やっぱり緊張したけど。
そう思ったところでちょうど電車が来て乗った。
思ったより混んでるけど、ラッシュよりもだいぶ空いてると思う。ラッシュ経験したことないけど。
瑠璃さんは話さないでいてくれて、でも私を気にしてくれてるのもわかった。
百とも電車って乗らなさそう。
百は基本的に車だし。
立って電車の外を眺めながら駅ごとに瑠璃さんを気にしていると、瑠璃さんに、ちょんちょんと人差し指で腕を突かれる。
次の駅で降りて瑠璃さんについて行ってドレスのレンタルショップまで並んで歩く。
『瑠璃さん、終わったらお腹空きますよね。お昼一緒しませんか?』
「ええ!?良いんですか!?嬉しい!!しますします!」
満面の笑顔で食いついてくる瑠璃さん。
2人で食事って初めてだけど、そこは問題ないのかな。
ていうか本当は今お腹空いてるんだけど。
でもぐっすりあの時間まで寝てた自分の落ち度だし。
仕事でも、お腹空いてたって中々食べれない事くらい結構あるし。
頑張ろ、と思いながら、白っぽい外壁のおしゃれな店に入った。
・・・ん?
なんか聞いたことあるような店名だったような・・・?
いや、そんなわけないか。
ウェディングドレスはヤスの時1回ミニを着た位で、その時のショップは違うとこだったし、って・・・
『あ』
瑠璃さんが予約してる旨を伝えてから通された所でハッとする。
ここ、次のブライダル雑誌で使うドレスを扱っている店だ。
なんという偶然。
別にお話した担当さんがいるわけじゃないけど。
「うわあ、すごい数のドレス!ね、Aさん、どれ試着してみよう!?」
眩しい笑顔の瑠璃さんが私を振り返って手招きする。
つられて笑顔になって、帽子を取りながら瑠璃さんの隣に行った。
1番人気はAラインらしい。
あとはプリンセスラインとかマーメイドラインとか。
とりあえず2、3着、瑠璃さんと選んでから試着が始まる。
近くの椅子に座ってまず1着、着替え終わるのを待った。
「・・・Aさん・・・?」
瑠璃さんの声ではない人の声に顔を向けると、ブライダル雑誌の企画でお話した担当さんが、窺うような表情で私を見ていた。
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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時