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70 〜百side〜 ページ20

テーブルに置いた腕に突っ伏す。
脳裏をよぎるのは姉ちゃんからの写真、Aのウェディングドレス姿。
それと、今日Aんち来る前に姉ちゃんから届いたラビチャ。

瑠璃Aさんの写真ヤバいでしょ〜。落ち着いたらとか言ってたらユキとかに攫われちゃうんだからね
瑠璃大好きなAさんにもっと幸せになって欲しいから言ってるんだよ?

絶対姉ちゃんの思惑にハマってる気がする。オレ。
あんな綺麗なA見ちゃったら、リアルにAとの結婚式を想像する。
早く結婚したくなっちゃう。

確かに、そしたらAはオレのって言わなくてもわかるようになるし、オレもAのって言わなくてもわかるようになる。

付き合ってるだけじゃ、誰かが間に入る隙を与えるのを知ってる。
今業界でオレたちが恋人だと知ってる人でも(IDOLiSH7やTRIGGERやZOOLと各関係者は別として)言い寄ってきたりするからだ。

それだけじゃない。
結婚すればAが、オレやユキと一緒でも、IDOLiSH7やTRIGGERやZOOLと一緒でも、不満を言う人が減ると思う。

でもAがRe:valeになったのは、オレと結婚するのを認めさせるための一端って思われないためには、せめて・・・1年は結婚を我慢しないと。

「ああああ〜」

現実と欲望の狭間にへこんで、溜息のような声が出る。
また顔を上げるとAに手を伸ばした。

明らかに驚いたように目を見開いたAを、引き寄せて抱きしめる。

『・・・百?』

戸惑うようなAの声。
でもそっとオレの背中に手を回してくれる。
Aの体温と匂いに癒されていく。

ああ結婚したい・・・

自分から今年は結婚しないって言った手前、喉の奥まで出かかったその言葉を飲み込んで抱きしめる腕に力を込める。

「もう!Aが表紙のブライダル雑誌買い占めて皆の目に触れないようにしてやる!」
『ええ!?』

Aの手がオレの服を掴んでオレから離れようとするけど、引きはがされまいとガッチリホールド。

『そんなムチャな・・・全国どんだけあると思ってんの』
「じゃあ手に届く範囲全部!」
『無駄遣いしないで。1冊以外は資源ゴミ行き』
「観賞用保存用布教用・・・」
『アハッ、布教しちゃうの?矛盾してない?』

肩を震わせて笑うA。
その通りなのが悔しくてキスをしてごまかす。

『も・・・』
「じゃあAくれたら我慢する」

戸惑いの表情の後恥ずかしそうに頷くAにグワッて心臓掴まれて、一緒に寝室へ行った。

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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時

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