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「い、いや・・・つーか、そもそも・・・」
『まだ付き合ってません!』

三月くんの言葉の先を繋ぐように言う。
でも効果はなかった。

「“まだ”・・・ねえ・・・」
「OH、これから有り得るんですね。」

二階堂さんは変わらずニヤニヤして、ナギくんはニコニコしてる。

二階堂さんは人をおちょくるのが好きなんやな。

「これが義姉ですか・・・。・・・かわ・・・っ、ゴホン。でしたら、料理の腕を上げていただかないと、兄さんは任せられませんね。」

これって言われた・・・
料理の腕・・・

ズーンと気持ちが沈んでると、環くんが声を上げた。

「不味くねえよ?食べれる。な、みっきー。」
「ああ。うまいうまい。」

三月くんもいつの間にかお皿にとってパクパク食べてくれてる。
煮ただけのやつだけど!

うわー、嬉しい!

「本当?じゃあオレも食べていいよね!?」
一「・・・どうぞ・・・」

みんなが食べてくれる。

ああ、そうだ。
忘れてた。

たっくんに初めて食べてもらった時も、美味しいってたくさん食べてくれて。
私が食べるとそこまでじゃないけど、嬉しい気持ちが勝って、また作るって気持ちになって。

たまにやってたから楽しかったけど、一緒に住むことになるとそれが普通になって、美味しいって言われなくなって・・・
作るのも大変になって・・・

気持ちが元々少しずつ離れてたのかな。
だからたっくんは、私を信じられなくなって反動で執着してたとかかな。

私がたっくんを信じられなくなったように。

少し物思いに耽っていると、陸くんが、私が作った煮物を不思議そうな表情で見ている。

大「どうした?」
「あ、えーと、何て言うか・・・こういう味って、何か言い方があったなあって思って。」

「言い方?」

三月くんが首を捻りながら再び食べてくれる。
かと思えば一織くんが口を開いた。

「ああ、素材の味が活きていない、ですか?」

グサッ

六「メリハリ、ない、ですね?」

グサグサッ

「いや、そうなんだけど・・・そういう言葉じゃなくて・・・」

そうなんだけど!?

壮「ああ、大味、って言うよね。」
「おおあじ?」
「こまやかな風味がないとか、そういう意味だよ。環くん。」

「いつもそーちゃんが作るのよりも食べられるけど。そーちゃんがいつも作んのも大味って言うんじゃねえの?」

大味!!

環くんが頬を引きつらせながら、フォローなのかフォローじゃないのかどっちつかずな事を言ってくれるけど、心の痛さでそれどころじゃない。

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作者名:miz | 作成日時:2020年11月19日 8時

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