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週1で勉強を教える日。
遅れたけどと言って誕生日プレゼントという名のお土産を百瀬くんに渡した。


「え!?いいの!?」
『誕生日プレゼントっていう名の、って言っていいのかお土産って言った方がいいのかわかんないけど・・・』


思わず苦笑してしまう。
百瀬くんは満面の笑顔を向けてくれるものの、そこまで喜んで貰えるような物だろうかという不安が拭えない。


「どっちでも嬉しいよ!開けていい?」
『どぞどぞ』


ガサゴソと手の平位の小さな紙袋を開けて、それは百瀬くんの手の平にコロンと転がる。
紐の部分を親指と人差し指でつまんだ百瀬くんは、目の前に持ち上げて感嘆の声を漏らした。


「・・・匂い袋?」
『うん。万人受けする香りって店員さんに教えてもらったのを選んだんだけど、その生地を見た時、百瀬くんの目の色っぽいなって思って』


濃いピンクというか赤に近い色の和柄の匂い袋。


『女性物っぽいかな?』


しげしげと匂い袋を眺める百瀬くんが何も言わないのが不安になって、おずおずと聞くと、百瀬くんがハッとしたように顔を上げて笑顔で私を向いた。


「全然!こういうの貰ったことないからさ!嬉しい!こういう色好きなんだよね!」


八重歯が見える。
百瀬くんのこういう笑顔好きだな。

ほっこりしてこっちまで笑顔が伝染する。


『良かった』


百瀬くんが一瞬目を見開いて、すぐにまた笑顔になった。


「そういやこういうのって、どうやって持ち歩くのが正解なの?知ってる?」
『ああ、ハンカチと一緒にポケットとか、鞄の中とかかな。あとペンケースの中もいいよね』


言って、そろそろ勉強を始めようかとノートと参考書をパラパラ捲る。
百瀬くんもそれに倣ってノートをめくり始めた。


「オレ、ポケットだと落としそうだし、ペンケースだと汚れそう。鞄ん中に入れとく!」
『あはは、それ私も同じことしそう。鞄の内ポケットとか良さそうだよね。でも持ち歩かなくて、服と一緒にタンスの中でもいいんだよ。香り移るから』
「へえ!それも良いね!迷うな〜」


楽しそうに悩んでる百瀬くん。
でもすぐに、この1週間で勉強で分からなかった部分の話に変わる。

切り替えの速さと物凄い集中力は、百瀬くんの強みだよね。
勉強が苦手でも、こういう子は伸びるのを知っている。
一時期塾に通っていた時、塾長さんが言ってた。

あと3ヶ月半。
分かる所を増やせるように頑張ろうねと、百瀬くんの合格を祈りながら、勉強を教えた。

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ミズ ミズ(プロフ) - KUROさん» コメント励みになります!ある程度の流れは決まっているのですが、セリフや行動にすると自分の他作を彷彿とさせないのが難しく更新が遅くなってしまってごめんなさい(_ _;)頑張ります!読んでいただいてありがとうございます! (2021年11月23日 0時) (レス) id: 7a55b8132b (このIDを非表示/違反報告)
KURO(プロフ) - 本当に読んでいて楽しくなれる作品だと思います!更新待ってます! (2021年11月22日 21時) (レス) id: e464551ebb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:miz | 作成日時:2021年11月11日 13時

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